第171話回想
私こと桜子の家は、周りの子とは違っているようです。
ほかの子は”ようちえん”というものに通ったりするのに、私はずっと家の中から出れません。
お母さんに理由を尋ねても、「安全のため」としか言われませんでした。
お手伝いさんは「こうきなけつえん」などと言いますが、何のことかさっぱり。
いつも広い境内で、暇を持て余しています。
「どうして周りの子は一緒に遊べるのに、私はできないんでしょ?」
私には私の役割があると言われはしましたが、不満はたまるばかりでした。
「今年も桜は散っちゃう」
境内に降り注ぐ桜のはなびらを見ながら、悲しい気分になります。
そんなときでした。
境内の囲いにある小さな隙間から、誰かが入ってきたようです。
たまたまですが、私以外の誰もいないのでその少年は忍び込めてしまいました。
ここは周りの人が立ち入り禁止な場所なので、本当は大人に言うべきだったのでしょう。
「あなたは誰ですか?」
他人とのかかわりがあまりない私は、その少年に話しかけました。
「ぼく? かずきっていうんだよ」
これが私と彼の出会い。
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