第162話包囲網

最初の海外派兵に、あまり楽しい思い出はありません。


仲間である自衛隊からは特別扱いをされ、現地の部隊からは嫌われていました。


異世界化空間の探索は主に自衛隊が行い、現地の部隊はそのサポートです。


私は後方支援という名目で、ほとんど何もしませんでした。


せいぜい、敵が密集したところにミサイルを撃ち込み、威力や射程を調べるくらい。


それが気に食わなかったのか、「御三家ゆえの特別扱い」という目で、現地から見られたのが残念です。


ついに核となっているボスクリーチャーの位置が判明し、それを攻略しようとしているときでした。


当然、自衛隊が中心となった討伐チームが結成され、そこに現地の魔女が何人か加わるだけです。


私はやはり、後方から成り行きを見守る役割を与えられました。


その国の民俗学に語られる、強いバケモノです。


自衛隊の部隊は、今までうまくいっていたこともあり、油断していたのでしょう。


敵の攻撃により、3人が投げ払われました。


続く一撃で2人が負傷。


仲間の手当てに人数を割かないといけないことと、敵への恐怖で部隊の包囲網が緩みます。


敵はそれを利用し、負傷者を増やしながら逃げました。


ただちに部隊総出で探索をしなくてはならなくなります。

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