第153話追及

「俺?」


「そうです。送られるマナの量が減りました」


「どうしてですか?」


「何かに気をとられたか、最初から長時間出すのが得意じゃないか。どっちかでしょう」


「そうですかね?」


「そうです。この術式は、あなたと私のマナを融合させ、Mオイルとの反応を利用し、多大な熱量を生ませることで成り立っています。それはわかりますよね?」


「はい、なんとか」


大ざっぱにだが。


「マナ操作は非常に繊細な作業ですけど、賀茂本家の直系である私ならできないことではありません。ほかは苦手なんですけどね」


「それで、どうなるんですか?」


「私であっても、苦戦するということです。一樹君、あなたのマナ操作は荒すぎますよ。一時全力で放出した後、力が数段弱まる。これではあわせるのが苦難です」


「だから、飛べなかった訳ですね」


術式が不成立になったのか。


「ええ。発想は間違いではないのですが、一樹君の技術の問題です」


「そうか。それならしかたないですね。ほかの手を考えましょう」


わざわざ呪具まで作ってくれたが、できないなら次を試す。


「まちなさい。あなたさえ何とか出来れば、成功するんです」


「それに何か月かかるんですか? 一般人である俺に、そんな精密操作なんてできません」


「私が教えます。一族の秘儀は無理ですが、それでも基礎的なことなら伝授できますから」


「だけどなあ」

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