第139話誤解

「さっきから、何かしらの視線を感じる気が」


ロリ美少女とともにいるから、嫉妬の目なのか?


「きょろきょろして気持ち悪いですよ」


「いや、視線を感じる気がして」


「変なことを言ってないで、先に進みましょう」


今日は、男性経験のないよしか先輩のために、俺がエスコートしているのだ。


俺も大した経験はないが、それでも全力を尽くす。


「と言うわけで、ゲーセンにやってきました」


以前と同じで、代わり映えのない俺。


ハーレムへの道のりは遠いな。


「まあ、一樹君がどうしてもと言うなら、付き合いますけどね」


にらみながら答える。


「お願いいたしますね」




「あそこは」


以前、私と一緒に入った場所か?


代わり映えないヤツだと、私アナスタシアは思う。


「あれは絶対にデートだね。本妻をほっといて、何をやっているんだろう?」


「ですね。兄妹デートはしないんでしょうか?」


「偶然を装って入ろう。キミも来て」


「おい、引っ張るな」


金髪の魔女に引っ張られ、中に入った。




「おや、偶然だね。そっちの小さい娘は誰かな?」


「以前拝見した気がしますね」


先輩とどのゲームがいいか探していた時であった。


なぜか、女の子3人がいる。


「偶然で来る場所なのかな?」


「細かいことはいいから、紹介してよ。新しい愛人?」


「そんなわけないでしょ? おばあさまに言われ、お見合いをしただけです」


でかい胸を張って反論する先輩。


ヤバい、と思った時は手遅れだった。


「どういうことかな? キミはボクに黙って、何をやっているの?」


「ええ。お義姉様ができるのはうれしいのですが、最初に紹介していただけないと」


「何ですか? この人たちは」


不穏な空気に気づいたロリ先輩は、引き気味になる。


「よく見たら昔関わった、よしかさんじゃないかな? 賀茂家を次ぐと言われている後継者が、何故こんな男の相手をしてるの?」


「海外に出ていったと聞いていましたが、いつの間にか戻っていたのですね」


この場で一番マシなサーシャに、目で合図を送る。


きっと、この場を納めてくれるはずだ。


「日本語では逆玉って言うのかな?」


「借金が返済できるし、将来も安定していますね」


笑顔を作りながら迫る、日英の魔女。


「お前、まさか」


そう、誤解だ。


「全員を嫁にするつもりか?」


「違う」


こうして波乱はさらに激しくなるのだった。

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