第126話勝敗

3・2・1、スタート。


仮想空間に投影されたモニターに表示されたカウントを合図に、2人は走り出す。


狭い体育館の中を、金と銀の軍人が駆け抜けた。


実体のない銃弾が飛び交い、的を射ぬく。


「本業だし、負けないはずだ」


コースを走るサーシャは魔法なしでも強い。


才能だけでここまで来たわけじゃないもの。


ひけをとらないどころか、リードしてるようにも見える。


「勝ってくれ」


賞品とか関係なくそう思う。


的の数は残り3個を切った。


狭い体育館なので、レースはそれほど長くは続かない。


2個になったと思ったら、的は1つに。


最後の的に射撃。


弾はほぼ同時に当たったようにも見えた。


残るストレートを、2人は猛ダッシュで走る。


「先にゴールしたのは?」


「私だ」


答えたのは、ロシアの軍人であった。

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