第22話特訓

「いつでもいいぞ」


「そうさせてもらう」


 AAを動かす基礎訓練だけではなく、実践的なこともやり始めた。

 

今はサーシャと剣を向け合っている。


 俺は装備の直刀〈トツカ〉、ではなくその模造品を両手で正眼にかまえた。


 サーシャは小型のナイフを逆手だ。


「一樹、かっこいいところを見せて」


 オリヴィアは訓練に加わらず、外から応援。


「ただの模擬選だ。胸を借りるつもりでいるよ」


「それは困るな。私は白兵戦の専門ではないから」


「そうだよ。サーシャくらい、勝ってみせて」


 いや、難しいぞ


「でも、やるよ」

 

剣を上段にし、そのまま突っ込んだ。


「てやーーーー」


 何のひねりもなく、そのまま振り下ろす。


「バカか? 貴様」


 当然というべきか?


 俺の渾身の一撃を、サーシャは簡単にかわす。


「これを実戦でやったら死ぬぞ」


 そのままがら空きになった体へ、ナイフを入れてきた。


 模造だから刺さりはしないが、バランスを崩して転ぶ。


俺の負けになった。


「もう少し、死なないための技を身に着けるんだな」


 サーシャは俺を見下す。


「いい振りだとは思うよ。でも、隙が大きいね。もっと簡単な刺突をやったら?」


「そうだな」


そう言ってきたオリヴィアに返す。


「その剣は突きに向いているんじゃないかな? もっと細い方がいいだろうけど、湾曲した刀よりはいいよね」


「幅広で分厚いが、曲がっていないから、向いてないわけじゃないな」


 剣に重量もあるし、かなり威力にもなるだろう。


「両手でその剣を持って素振り、いや素突きだな。それを毎日やれ」


「分かったよ」


 サーシャのいうことにうなずく。


 突きがうまくいったら、それがデーターに残る。


今後も実戦で使われ続けるのかね?


「なんでもいいから、やってみるか」


〈トツカ〉のレプリカ両手で持ち、半身になって構えた。

 

そのまま右足を前にだし、それとともに付きを放つ。


「もっと早くだ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る