第1章 第9話 カミラ家の茶番
シャルテの家で食事をする事になったアレンは2人と一緒に買い出しに来ていた 。お金は多少だが余分に渡されており、両親合わせて5人分の夕食を作るための食材は買う事ができた。
食材を買い終え、今度こそ帰路に着いた時、アレンの腹が大きな音を立ててなった。
「ちょっとアレン、はしたないわよ」
「そんな事言ったってよ〜、一週間ぶりの飯なんだぜ?腹がなるくらい勘弁してくれよ」
「私が言ってるのはお腹がなった事だけじゃなくて涎が垂れてることもよ」
アレンとシャルテのやり取りをテルルが苦笑して眺めている。そしてこんな事をポツリと呟いた。
「⋯⋯2人って結構仲良いよね」
「「それは無い」」
2人がハモる。
アレンとシャルテは睨みをきかせ、やはりテルルは苦笑してその光景を眺めていた。
シャルテの家に着き、家に上がった途端2人の母と父が迎えてくる。
「「おかえり〜!愛しの我が子⋯⋯た⋯⋯⋯⋯ち」」
だが、元気よく出てきた母と父がアレンを見た瞬間固まる。しかもラブラブなのか手を繋いだままである。
シャルテが17歳という事はもうすぐで結婚20年目位になるだろうと言うのにお熱い事である。シャルテに兄妹が出来なかったのが不思議でならない。
するとシャルテ母とシャルテ父は反対向いて何かコソコソと話している。
「ちょ、ちょっと!シャルテが男連れてきたわよあなた!どうしようかしら何も用意とかしてないわよ!と、とりあえず家に2人きりにして今夜は外泊した方がいいかしら⋯⋯!」
「そ、そうだな!いやでも待てネネ!あの男はテルルの連れかもしれないぞきっとそうだ、だってシャルテってばテルルに女性としての魅力負けてるし胸もぺったんだグギャッ!?」
「全部聞こえてるわよ、誰が胸もぺったんだってッ!?」
シャルテがパパさんを蹴り飛ばし首を締め上げる。
「シャ、シャルテ!?ダメだよ、お父さんの顔色がどんどん青ざめていってる!」
そしてパパさんは震えながらママさんの方へ手を伸ばし、その手が、カクンっと落ちる。
「あなたあああああああーッ!?」
ママさんは泣きながら、シャルテの締め上げから解放され横たわっているパパさんの亡骸(?)に顔を押し付け泣いている。
テルルまで「あ、ああ⋯⋯!」とか言って口を抑えている。
そしてこんな事をしたシャルテを見ると、何とも清々しい顔でニッコリと笑っていた。
アレンの口からは、
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯ナニコレ」
という言葉しか出てこなかった。
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