真夜中のドール・ガール

平原佑記

0.暗転

暗転

 ひどい眩暈と共に脳内を蹂躙する、凶暴なまでの耳鳴り。

 どっと噴き出す汗。迫るアスファルト。


 それでも、恐怖より先に立ったのは、後悔と罪悪感で。


 霞みゆく視界に映る彼女の手。

 そこから放たれ、真夏の太陽をキラリと反射しながら落下していくそれを――まるで、あの人の涙のようだと思ったんだ。

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