第10話 富士の樹海とセイトの仲間

 「我等、オロチの訓練施設さ!君のように力に目覚めた者を連れてきて、教育するんだ」

「矯正ってことは、ようは洗脳するんだろ?」

「じゃあー、君。教育はどうなる?あれは洗脳と大差ない」

男の子は手術台ようなものに、縛り付けられている聖斗を上から見下ろして言っている。

聖斗は反論する。

「洗脳は無理やりと人の心の弱みにつけこむ。教育は違う!」

「教育も無理やりだと思うよ」

「お前らは平気で人を拉致する連中だ」

「論点がずれてる」

そして、男の子は、これ以上問答しても無駄だと言い、これから連れて行くと。そして、出口の方へ歩いて行こうとした。

「お前の名は?」

「ああ、言って無かったね」

男の子は顔を後ろに向けた。

「ジュン。・・・四座蔵ジュン」

男の子は自分の名を聞かれ、名乗った。“四座蔵”ということは・・・

「兄妹か!」

ジュンが部屋から出て行った。すると、人が三人入ってくる。聖斗を抑えつけていた紐を外し始めた。その三人組もオロチのメンバーなのだろうと聖斗は思った。服装は鎧のようなものを着けている。色は黒紫っぽい感じである。次に表情を見ると、目が死んでいる。普通ではない。ジュンも死んでいるものの、はっきりと意思のようなものを瞳に映している。しかし、三人組はそうでは無かった。そんな感想を聖斗は持った。

「お前ら!」

拘束を解かれると、二人に腕を掴まれた。場所の見当のつかないスピーカーからまた声がする。

「言うことを聞くのぉ!」

「こいつらは何も言わないぞ?」

「何を言っても答えないよ!」

そして、部屋の外に連れ出される。しばらく廊下を歩いている。聖斗は少しキョロキョロしていると、いくつか部屋があることがわかった。それに、ところどころハイテクさを感じるものがあった。大きい扉が見えてきて、近づくと上に扉が動いた。入っていくと、大きいドックである。そこには、オスプレイのような機体があり、聖斗は乗せられる。機体が動き出すと天井の扉が開き始める。機体は上昇する。窓の外をちらりとのぞくと、周りは山や森がある。さらに遠くには大きい円形のドームが見えた。

「あれ何だ?やけに大きい野球場みたいだな。」

「あれはドームだよ」

「そんなの見れば、わかる!」

「君の言う野球場ではない」

この機体で一時間くらい飛んでいると、富士山の形をした山が見えてくる。しかし、その頂上には、隕石というか、岩というかそんなものが乗っかっていた。そこそこ大きい。頂上をすっぽり覆うほどではないが。

「富士山か?ということは関東辺りにいるぅてことか。あの岩、こっちには無かったはず」

「歴史が違う!・・・そろそろ目的地に着きそうだから、君に説明するよ。君には、これから半月の間、入所する為の試験を受けてもらう」

聖斗は表情をこわばらせる。それを見た、ジュンは。

「不安がることはないよ。とにかく、生き残ればいいことさ!話を続けるけど、この試験は弱肉強食。弱い者はとっとっと、死ぬだけ。君の他にも受験しているが、そいつらを殺してしまっても構わない」

聖斗の表情さらにこわばり、固まってしまった。自分はこれから殺されてしまうかもしれないし、自分も場合によっては人を殺してしまうかもしれない。理由はどうあれ、殺人者の仲間入りを果たしてしまう。

「えぇ!殺人が良いってどういうことだよ。犯罪だろ?」

「この世界でも、一般人がやれば犯罪だよ。でも、兵だったら別さぁ」

どの世界でも罪のない人間を殺してしまえば、犯罪だろう。しかし、この世界の日本の場合は兵ならば殺しが許されているようだ。聖斗は顔を噛めている。

「君の世界の日本はよほど、平和のようだ。平和を通り越して、“平和ボケ”だ。生ぬるい」

「とにかく、殺しはいけない。殺すくらいだったら、殺された方がましだ!」

「偽善だよ!今は問答しているわけじゃない。君が一人前になったら、もう一回話を聞くよ」

ジュンはまだ未熟で生ぬるい聖斗にこれ以上、このことで話すことはない。そして、改めて説明の内容を整理し始めた。

「物騒な話だ!」

聖斗はイラついていたが、ジュンが一瞬、聖斗を睨みつけて、聖斗の表情が大人しくなった。

そして、ジュンが一言付け加える。

「自分の立場を・・・」

ジュンはそれ以上言わなかった。聖斗もその言葉の意味を理解したようだ。

「説明をまとめていうとね。この下の樹海で半年間、サバイバルをしてもらうよ。殺しも自由だ。ただ、死にたくなければ、これはしない方が良い。・・・樹海から出ることだ。この森の端に行くと、柵がある。そこを出ると死ぬ。というか僕達オロチの兵士が殺しにくる」

ジュンは窓の外、眼下に広がる樹海を眺めながら、話していた。聖斗はジュンを軽く睨んでいた。全力が睨むとこの場で殺されてもおかしくないからである。

(ふざけんな!俺は犯罪者でもないのに。でも、やるしかないのか。殺しなんてするもんか。)

と、聖斗は心の中で思った。この状況では聖斗に選択権などなく、従わざるおえない。

ジュンは、聖斗の方を向いて、ある物を聖斗に渡した。

「生き残る必要な最低限の装備だ。中には、水・ナイフ・ライターなどが入っている。さて、ここから降りてもらう。試験スタートだ!」

すると、ドアが開かれた。

「おい!ここで降りろと言うのか!パラシュートはあるんだろうな」

「パラシュート?そんなものはいらないだろ。君は力を持っているんだから」

「自殺行為だ!すぐ“死ね”ってことかよ」

上空から飛んだら、普通なら飛んでいる間に気絶して落ちて確実に死んでしまう。パラシュートさえあれば、死ぬことはないはずである。ジュンは力あるものにパラシュートは必要ないと言っている。しかし、聖斗はまだ、力のコントロールが未熟であるのだ。それを聖斗は言いたいのだろう。

「それも君次第さ。それが出来ずに死んでしまう者もいるが。そいつは所詮それまでということ。弱肉強食の敗者ってだけだよ。さぁー行ってらっしゃい。健闘を祈る!」

聖斗は他の兵士に両手を掴まれ、ドアの前に立たされる。風が入ってくるような、すごい音がする。聖斗の恐怖心は高まる。こんな、経験はしていないのだから。

「やめろ!殺す気か」

聖斗は後ろを向いて、両隣にいる兵士に睨んだ。兵士は黙っていて表情は崩さない。

「無駄だよ!その二人には今の君の力は通用しない。さぁー、やれ」

両脇の兵士は聖斗を全力で突き飛ばした。聖斗はその瞬間、目をパッチリと開き、眼下の樹海を見る。パラシュートがないので、このままでは聖斗に死が訪れるだけである。即死か落ちて体から血を垂れ流して、意識を無くし死んでいくのか?だいたい、どちらかである。段々落ちていくに従い、聖斗は気が遠くなってくる。

(意識がやばいな!これが死ぬってことか?)

下の樹林が近づいてくる。聖斗の死は目前である。しかし、聖斗は諦めず、力を振り絞ろうとする。

(こんなところで、死んでたまるか。ふざけんじゃねーーー!)

意識が失いそうなギリギリな所でハッとなり、自分の今の気持ちを吠えた。すると、聖斗は力がみなぎってきた。あの時、ジュンとミウと闘った時と同じ感覚である。聖斗は微量ながら風を纏っていた。

ガササササー

そして、聖斗の身体は樹林へ突入した。聖斗は樹林の枝に掴まろうとする。その間にも、顔・体への切り傷を作っていた。掴まれそうな枝が聖斗の目に入ったので手を伸ばした。手で枝を掴んだので、落ちるスピードは軽減された。聖斗の体は枝を掴んで宙ぶらりんの状態にはならず、地面に落ちた。聖斗の落ちた地面には幸いに、枯れた枝や落ち葉があった。しかし、隣には溶岩の塊があった。少しずれていれば、聖斗は頭を打って死んでいたに違いない。

(あいつがいった通り、ここは樹海みたいだな)

この樹林の生え方が特殊であった。聖斗は真上を見て、樹林の隙間から覗ける青空が見えた。体から、力が急激に抜けていき、意識を落としてしまった。


 今、聖斗は樹海の中を彷徨っている。あれから、目を覚まし、辺りを見回すと、景色がどれも同じように見える樹林に囲まれていた。すぐ近くに溶岩の塊があることに気づいた。それを見た聖斗は背筋がゾッとしたようである。そして、立ち上がり歩いていくが方向感覚がわからない。しかも、空は夕暮れ時である。辺りが完全に暗くなれば、動くのは危険になる。何が出てくるかわからない。しばらく、彷徨っていると、人が倒れていた。聖斗は声をかけようとするが思わず絶句してしまう。

「・・・」

倒れている体に、虫が湧いていた。しかも、体の一部が・・・

「死んでいるのか?体が下半身だけだるまさんじゃねぇーか」

聖斗は寒気がした。かぜを引いたわけではない。この残酷さや苛酷を見てしまったからだ。ジュンが言った“弱肉強食”とはこういうことなのだろうと思った。しかし、これはまだ、始まりに過ぎないのである。ここには、人を葬る環境がないので、聖斗は手を合わせることしか出来なかった。それから、少し彷徨い、辺りが暗くなってきたのでこれ以上動くことを止めた。装備にライターがあるので、木々を拾ってきて、焚き火をした。しかし、これがまずかった。辺りが完全に暗くなり、焚き火から少し離れただけで暗闇ある。その暗闇から声が聞こえてきた。鳥のさえずりならどんなに良いか。現実は違う。獣の声がするのである。

「動物の声だな。焚き火がまずかったか」

そして、足音が段々と近づいてくる。聖斗はその方向を向いた。近づいてくるに従って、なぜか周りの空気の圧迫感が高まってくる。聖斗は、緊張で唾が飲み込めなった。

―ガサ

その瞬間だった。聖斗を目掛けて、獣が飛びかかって来た。聖斗はとっさに避けた。聖斗は

獣を見る。獣はどうやら大きいイノシシのようだ。このイノシシは普通ではない。普通のイノシシの倍以上の大きさである。聖斗とほぼ体長が並ぶくらいだった。場は焚き火の燃える音がするくらいでそれ以外は静寂に包まれている。イノシシは聖斗の様子を伺っているようである。聖斗も出方を間違えれば死ぬと感じている。対抗するべくイノシシを睨み始める。

すると、風が吹き始めた。聖斗に風が集まりずつある。イノシシも異変を感じとっているようで、鳴き声を出している。焚き火は風により、消えつつある。消えた瞬間、全てが決まるかもしれないそんな状況であった。

ビユーーーン、ボン

一瞬、強く風が吹いた瞬間、火は消えた。

ガサガサガサ

どこからか、音がした。真っ暗なのでわからない。

「今だ!」

人の声がした。そして、

ブスブスブスブスブス

声の主が何かをやっている音がした。イノシシはうめき声を上げる。それは、まるで苦しんでいるかのごとく。そして、次第にうめき声は無くなっていった。

「もう一回、焚き火をしてくれないかな。このままだと暗いとわからないだろ?」

「あぁ!」

聖斗は声の主にそう言われて、ライターで再び火をつけた。周りが明るくなり、声の主の姿が見えるようになった。声の主は男で、若く青年であった。聖斗とは年齢があまり変わらない感じだろうか。

その青年はボロボロの服に返り血を浴びており、ナイフはもちろん手にも血がべっとりと付いていた。イノシシを見れば、すでに倒れており無数の刺し傷があった。それで、彼はこんなに血がついてしまったのだろうと聖斗は思っていた。

「大丈夫だったかい?やったから、こっちに来て!」

すると、暗闇から女性が出てきた。女性の服も少しボロボロで肌が一部、露出していた。

「良かった。これでまともなものが食べられるよ!」

その女性は髪が長い為、結んでいる。そして、食べ物にありつけて、安心していた。しばらく食べていないようである。青年はイノシシをバラシ始めた。サバイバルナイフだけで。その手つきは手慣れており、無駄がない感じである。バラシには時間はあまりかからなかった。

イノシシの肉を木の枝に突き刺して、焚き火で焼いている。その青年は肉の焼き加減を見ながら聖斗に話かける。

「君、今日落とされたの?」

「落された?あぁ、そうだけど」

聖斗は落されたの意味が一瞬わからなかった。青年の言葉からすると、同じような境遇かもしれないと思った。

「これは試験でしょ?俺たち圧気を持っていることが知られ、無理やり連れて来られた」

青年はイノシシの肉の焼き加減を見た。近くにいた女性が聖斗に話かけてくる。

「ねぇねぇ、あなた才いくつぐらいなの?」

「二十二です」

聖斗は話かけられたので女の方を見たが、目のやり場に困る。女性はそれに気づいたのか。

「気になる?でも、もう慣れちゃったわ。あなた女の子の体見るの嫌い?」

「嫌いじゃないすけど。慣れてないので、その」

「わたし、気にしないから大丈夫よ!それと・・・」

聖斗も男なので、女性の身体が嫌いということはないが、経験がないというか聖斗は童貞だった。今まで、女性との付き合いはあくまで友達関係である。

「二十二って、どっちの方?」

「え?」

女性が自分の年齢について、“どっちか?”と聞いてきた。聖斗は女性の質問の意味がわからなかった。

(才にどっちもって言われてもなぁー?)

「わからないなら、いいわ。ごめんなさい」

青年は肉の焼き加減を見ながら、話しに割り込まず、じっと聞いていた。しかし、話に一区切りついたようなので、笑いながら話に入る。

「君、経験ないでしょ?」

「・・・」

「図星かぁ」

青年が聞いて来たことについて、つい黙ってしまった。なぜなら、経験がない童貞なのだ。

「肉が焼けたから、食べよう!」

「さぁ、食べましょ!」

聖斗は久しぶりに砕けた会話が出来たので、表情が緩み安心しながら肉にかじりつく。聖斗が食べていると、青年は聖斗にある提案をする。

「一緒に行動しないか?力を合わせて生き残ろう。一人じゃ、この得体の知れない樹海では生きていけない」

「あなた達といれば、安心です。ぜひ」

「よろしく!」

「よろしくね!」

聖斗は青年の提案に対して、即答した。聖斗にとって願ったり叶ったりである。試験とか言われて、強引にこの樹海に投げ落とされた聖斗は方向感覚がわからない状態だったので心細かった。青年は巨大なイノシシを倒してくれたのでここでは頼りがいがあり心強かった。

「そういえば、聞いていなかったね。君の名前は?」

そして、自分の名を聞かれたので答えた。すると、相手も名を答えてくれた。


 それから、一週間が経った。聖斗は今、獣と闘っている姿があった。獣は一週間前と同じ巨大イノシシではない。この樹海はイノシシに限らず多種類の生物がいる。今回は、犬である。巨大イノシシほどではないがそこそこ体長はあった。聖斗は一週間前とは違い、闘い方がそこそこ様になっていた。この一週間で少しは成長しているようである。

ドーン

聖斗が拳に風を纏い、獣を殴り飛ばしている。しかし、そこでは倒れず聖斗を目掛けて、牙を剥き出しにして、噛みつこうとしてくる。

「最後まで気を抜くな。そいつに噛みつかれたら死ぬぞ!」

「もちろん!」

樹海にいる犬などもちろん、野良なので、噛みつかれれば狂犬病になり、死んでしまう。それはこの世界でも同じだった。そして、飛び掛かって噛みつこうとしてくるので、その勢いを利用して、聖斗は犬の片足を掴み、投げ飛ばした。着地した所が溶岩だったので、さらにダメージを負った。

「トドメは俺がやる。エリと聖斗は待っていてくれ」

「了解。ジン!」

青年レイジは聖斗の様子を見て、トドメにためらいの表情がにじみでていたので、自分がいくことにした。そして、倒れ込んでいるところを、一気にサバイバルナイフで突き刺した。一切のためらいのない突きであった。心臓部分を狙ったので、出血する。心臓によって微動に動いていた体が動かなくなり、息もしなくなった。

「前も言ったけど、ためらう気持ちもわかる。でも、生き残るため、この試験をクリアする為。やらなくちゃならない。出なければ自分が死ぬだけなんだ!」

「次はやるさ!」

聖斗はトドメをためらったことをジンから再び指摘されてしまった。聖斗自身、生き物に生き残る為とはいえ、トドメをさすことに抵抗がある。聖斗の今まで生きてきた環境は平和で、生きる為に命を奪うということをする必要が無かった。その仕事はその専門の業者がやることだったのだ。しかし、現在置かれている環境はそうではないのだ。

「今日はこれが食事になりそうね。でも、その前に・・・」

エリは、聖斗とジンのやり取りを見ていた。それが終わったようなので、二人の会話に入った。その時、自分達の後方から気配を感じた。エリ、気配の探知が得意であるようだ。この能力が役に立っている。

「後ろにいるわ。獣じゃない!」

「おい、出てこい!」

エリから獣じゃないと聞いた瞬間、ジンと聖斗は警戒体制に入った。ジンは後ろに向かって叫んだ。すると、三人組がどこからか現れた。男二人に女一人である。その内の男の一人がしゃべり出す。

「遠くから見させてもらったけど、お見事。特にそこのお前」

ジンは指を指されながら言われた。そして、相手を睨み、周辺の空気が一気に変わる。

「まだ、何もしていないけどなぁー。気が早いんじゃないか」

「ここにいる奴らは信用出来るわけない。殺しに来ているからなぁ」

男の一人がここで重要な話を切り出す。聖斗達にとっても死活に関わることである。

「肉は、今ので最後だ。他の連中がみんな食べ尽くした。残るのは、わかるよな!」

「俺たちが次のターゲットということだ!」

それを聞いた、聖斗とレナは青ざめた。残りの二人は、笑みを浮かべている。もう一人の男が前へ出てきた。

「食うか。食われるか何だよ。ここでは。その辺の草だけ食うわけにはいかないからな」

「協力しようよ。あなた達も連れて来られたのでしょ!」

エリは相手に対して、説得を試みようとしている。こんなところで争っても醜いだけ。出来れば、戦いを避けたいのだ。

「お前らはそうかもしれないが、俺たちは違う。ここがそういう所だとわかっている」

最初に話始めた男がエリ達に言った。別にこの状況に悲観などしていないのだと。

「決裂みたいだ。やるしかない。エリ・セイト」

その瞬間、一気に空気が張り詰めた。両者、圧気を放つ。

「こつらおそらく強いぞ。聖斗、ためらうなよ!」

「あぁ、やってやるよ!」

聖斗の瞳に覚悟が見えたジンは意識を全て敵に集中させた。

「お前らを、食ってやる!」

「おとなしく食われてくれる!」

「こいつら、美味しいといいな!」

ジン達の目の前にいる敵の三人組が一言言った。最後に言った男のセリフからすると、すでに何人も食ってしまっているようだ。そんな、感想を聖斗は持った。今度、ためらえば、死ぬことになると、相手は人なのだから。そして、ここから真に弱肉強食が始まろうとしていた。

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