次の世界で俺は成功する?

桜咲 幹

プロローグ

第1話 いつもと違う一歩

「この世界はくだらない…」



この世界に俺の居場所は在るように見えて―――「無い」


 

 俺は自分が生きているこの世界を好きになれなかった。大学に入学してみたが、特に夢も目標もない。そんな俺は大学を卒業後なんとなく就職。新入会社員として毎日を過ごしていた。

 

 大学時代や高校時代友達がいなかった訳ではない。複数人仲が良い友達だっていた。俺には秀でた才能が無いが、特にできないこともない。人並みになんでもこなせるのだ。そう俺は、この世界の平凡な男の一人なのだ。それゆえに、自分の人生を真面目に考えたことなど無い。このまま会社に勤め、退職まで働いて、お給料を貰って、結婚して、子供を授かって、いつの日か孫が生まれておじいちゃんになる。そんな普通の人生を送る。そう思っていた。しかし、それは本心ではない。だから「この世界はくだらない…」そう思ったんだ。ここは酷く息が詰まるんだ。

 

 俺は古場龍治22歳、今日もいつもと変わらない。いつもと変わることがない通勤の道のりを歩いている。何も考えず、まだ寝たいという体を無理やり起こして通勤する。まもなくして、自宅からほど近い最寄り駅に着く。毎日同じ改札口を通り、ホームに向かう。

「まもなく列車がホーム参ります。お客様は...」

と、いつも変わることがないホームのアナウンスが耳に入る。いつもと同じ電車に乗る。朝が弱い俺は電車でいつも眠くなる。でも、朝の通勤ラッシュに眠気を奪われてしまう。これが毎日変わらない俺の日常だ。こうして、俺は電車に揺られて会社に出勤するのだ。





 


 




 いつもと同じ駅で降りる。その瞬間だった。目の前の景色が反転した。最初は何かにぶつかったと思ったんだ。でも違う。明確に何かに背中を押された。










―――そして、俺はいつもと違う一歩を歩まされた。









次に俺が目を開けたときだった。









「ようこそ創造の都 エルディアへ!って、えぇっ?龍治君?」







そこにはどこか見覚えがある茶髪でショートの女性と、見たことのない世界が広がっていた――――。


 






 

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