朝が来ない日。

赤キトーカ

第1話 臨時ニュース

トウマは、眠っていた。

しかし、テレビはつけっ放しにしていた。

NHKを、常に付けたまま、眠っていた。

それは、2011年の、東北地方太平洋沖地震、つまり、東日本大震災からの、教訓だった。

トウマは、岩手県に住んでいた。

それで、大きな津波の被害を目の当たりにしたりもした。

その当時は、東北地方は全域が停電となり、地震や津波の情報は、なにひとつ入って来なかった。

だから、その地震が、マグニチュード8.8という情報が入ってきたのは、地震発生時から、4時間後のことだった。

だから、万が一のために、NHKからの情報を得るために、常にテレビを付けたままにしておいているのだった。

そんな眠っているトウマの耳に、信じられないような情報が飛び込んできたのは、午前5時頃のことだった。


「番組の途中ですが、ここで臨時ニュースをお伝えいたします。今日、12月3日、地球の自転が止まった、との情報がアメリカUSGS、地質学研究所からの情報として入ってまいりました。繰り返してお伝えします。アメリカ、地質学研究所からの情報によりますと、地球の自転が止まったのではないか、との情報が入り、太陽が上らないのではないか、という情報が入ってまいりました。番組の途中fですが、繰り返してこの情報をお伝えいたします。アメリカUSGSの情報によりますと・・・」


「う〜ん・・・」

トウマは、睡眠導入剤の副作用による、けだるさから逃れることもできずに、朝のつらさか、けだるさによって、まどろみのなかで、そのニュースを聞いていた。


「朝が、来ない!?」


トウマが、その情報が、核心に変わったのは、目覚まし時計が鳴り響く7時15分になっても、外の景色が、闇に包まれていたことからだった。


「よ、夜じゃないのか!?」


トウマは、真っ暗な7時過ぎの「朝」を見て、「それならば、これは、『夜』に違いない」と確信し、再度、ふたたび、二度寝をすることにした。





































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