第23話 圧倒的全てを超える存在を超えるモノ

枯れた月の様な星の上に立つヒロシの前にデビルバハムートがその巨体を広げて立ちはだかる。

そのサイズの差は歴然、太陽よりも巨大なデビルバハムートからすれば塵よりも小さいヒロシであるがデビルバハムートは確実にヒロシを見詰めていた。


『よいのか?それはお前の魂を喰らっているようだが?』

「だから短期決戦で行かせて貰うぞ!」


そう言ってヒロシは指をパチンっと鳴らす!

そして直ぐに手にしていた獣の槍をデビルバハムートに向けて投げつけた!


『むっ?!横か?!』


デビルバハムートがその巨大な体をサッと後ろへ下げて真横から飛来してきたそれを回避する。

一方ヒロシの投げた獣の槍は物凄い速度を放ちながら更に加速しデビルバハムートへ向けて一直線に進む!

それでもその距離は遠く届くまで数分を要するのは当たり前である。


『なんの冗談だそれは?』


自分に向けて飛んできている獣の槍を見詰めてヒロシに念話で問う。

だが直ぐにデビルバハムートの予想を裏切った!

真横から飛んできたのはミサイルだったのだ。

そのミサイルが方向を変えてヒロシの投げた獣の槍の方へ飛んで行き直前で破裂した!

そう、これこそが狙いであった。

ガオ○イガーに出てくるESミサイルである!

Jアークをヒロシはアホウで呼び出しそれを発射させたのだ!

それは空間転移型ミサイル、空間を超越して目標の至近に出現させる効果があるのである!


『なにっ?!』


ESミサイルによって生まれた空間内に飛び込んだ獣の槍がデビルバハムートの背後に出現しその背中に突き刺さった!!

それと同時に獣の槍の効果が発動する!

使用者の魂を糧にあらゆる妖怪を討ち滅ぼす退魔の霊槍、その効果は人に取り憑いた妖怪を人間ごと貫き妖怪だけを退治する。

即ち・・・


『な・・・なにぃいいいいい?!?!?!』


デビルバハムートの体から消滅していく幾つモノ何かが在った。

そう、デビルバハムートの正体は喰らった存在を自らの糧として進化成長するのだ。

その中には様々な生物が居りアンデットやこの世ならざる物、つまり妖怪も居た。

それが体内から消滅していくその様を見詰めるヒロシは口元を大きく歪ませて再び指をパチンっと鳴らす!

体から取り込んだ妖怪に関するものが次々と消滅していくデビルバハムートは気づくのが遅れた。


『なっ・・・これは・・・巨大な蜂?!』


アホウを使用しても出現させることが出来る物体には限界がある、その為ヒロシは極限まで空間を繋げるスペースをゆっくり広げそれを召喚したのだ!

その名は『最終鬼畜兵器・蜂』、あの弾幕シューティングゲーム『怒首領蜂』の最終ボスである!

その姿はまさしく巨大な蜂、妖怪が体内から排出され少しだけ体が小さくなったデビルバハムートではあるがそのサイズ差はまだまだ歴然である。

だがデビルバハムートはその蜂のとてつもない何かを感じ取り先手を打とうと口を大きく開きブレスを放つ!


『ギガフレア!』


巨大なレーザーがデビルバハムートの口から放たれて巨大な蜂を直撃する!

その足の何本かが吹き飛び触覚も取れるが蜂はそのままの姿でデビルバハムートのブレスに耐えた!

そして、蜂から細かい・・・とても細かい凄い数の弾が発射される!

その1発1発が並みの生命体なら即死させるほどのエネルギーを秘めているのをデビルバハムート直ぐに理解することとなった。


『ぐ・・・ぐああああああああ!!!!』


全身を襲う凄い数の弾は巨体のデビルバハムートには回避する事も出来ずその痛みに悲鳴が響く!

だがデビルバハムートも負けずと反撃のブレスを何度も放つ!

そして、直ぐに巨大な蜂は大爆発を起こして消滅する!


『はぁ・・・はぁ・・・これで貴様の切り札は終わったぞ!』

「いや、これは単なる時間稼ぎだ!死ぬがいい!」


ヒロシがアホウの疲労で動けないままそう宣言し爆発したそこを指差す。

するとその爆発の中から何かが飛び出した!

燃える小さな蜂、といってもそのサイズは小惑星くらいはある。

そして、その火に包まれた蜂、『火蜂』から物凄い数の多種に渡る弾幕が発射される!

先程よりもその数量は多く絶対的に在りえない量の弾が宇宙空間を埋め尽くしていく・・・


『ぐぁああぐあああああああ!!!』


再び雨の様な量の弾がデビルバハムートの全身を次々と傷つけていく!

確実にダメージが通っているのだ!

そして、反撃とばかりにブレスを放つデビルバハムートの攻撃が数回目に達した時にそれは放たされた。

通称『美味死そうなふぐ刺し弾幕』である!

ありとあらゆる全方向に乱発射されるそれが何も無い宇宙空間を魅了する空間へと変貌させていく。

ピンクの鱗の様な弾幕が次々とデビルバハムートの全身を削り破損させていく!

蓄積されたダメージのせいか徐々にデビルバハムートの体のサイズが小さくなってきていた。


今までに無い明らかな弱体化を目にしてヒロシは迫り続ける寿命に抗いながらデビルバハムートを見詰める。

そして、いつもの様にその時が来た。

忽然とデビルバハムートがその姿を消したのだ。

これまでのアホウ使いもこうやって逃げられることでデビルバハムートを倒す事が出来なかった。

だがしかし、デビルバハムートを見詰めていたヒロシそれを取り出した!

そう、ゼルダ○伝説神々のトライフォースに出てくるマジカルミラーである!

その効果は裏世界へ移動できる。

それをヒロシは使用した。








『はぁ・・・はぁ・・・まさかここまでやられるとは・・・だがこの空間に退避できれば私は無敵だ!』

「残念ながらそれは違うな」

『な、なんだと?!』


真っ暗な裏世界、上下も分からないそこにヒロシはタケコプターで浮いていた。

確実にその体積を小さくしたデビルバハムートの驚愕の表情にヒロシは苦笑する。

竜の表情が人間に分かるくらいハッキリとした形で変化したのだ。


『貴様、何故ここが・・・』

「火蜂はお前が逃げ込むこの世界の特定に使っただけだ!」

『な、なんだと?!』


そう、ヒロシの狙いは火蜂でデビルバハムートを倒す事ではなかった。

その空間を埋め尽くすほどの弾幕で世界に処理落ちを起こさせることであったのだ!

処理落ち、それは世界が認識できる限界値に近付くほどの物質を一定範囲に出現させるとその空間の時間の流れが遅くなると言うものである。

ヒロシはこれを利用してデビルバハムートがどうやって戦闘から逃げているのか特定したのだ!


「さぁ、第二ラウンドと行こうじゃないか!もう少しだけもってくれ俺の魂!」


そう叫びヒロシが指をパチンっと鳴らす!

それを妨害しようとするデビルバハムートであったがこの裏の世界ではデビルバハムートのステータスは大幅に下がっていたのだ。

理由は表の世界と裏の世界でステータスの理論値が違うという事が挙げられる。

簡単に言うとドラゴン○エストではどれだけキャラを生長させてもHPは4桁に達しない、だがファイナルファンタジーは4桁以上まで成長させることが出来る。

もしもこの二つの世界のキャラを交換した場合理論値が3桁までのドラゴ○クエストの世界ではHPが4桁あるキャラでもHPは999となる。

これはヒロシも予期せぬ事であった。

そして、ヒロシの指パッチンによって再び出現した巨大な蜂にデビルバハムートは先手を討つ為にエネルギーを口に溜めていた。

次の瞬間放たれるデビルバハムートの溜めを行なった『テラフレア』が出現した蜂にぶつかる!

だがそのテラフレアは蜂の周囲に張られたバリアで完全に防がれてしまった。


『バ・・・バカナ・・・』


そう、先程とは明らかに違うその気配にデビルバハムートも再び先手を打ったのだがその溜めたブレスが完全に無力化された事に唖然としていた。

世の中には上には上が居るという言葉があるが自ら以上の存在を目の当たりにしてデビルバハムートの思考も完全に停止したのであろう。

その蜂の様な姿のピンクの髪をした存在・・・

通称『]-[|/34<#!』※これでヒバチと読む。

ザツザの相性で知られる何を聞いても『死ぬが良い』としか返ってこないこの世の不条理を詰め込んだ究極の兵器。

超洗濯機、(これは)ないアガラの滝、獄盛りふぐ刺しペガサス昇天MIX盛り・・・

あれは後光と言うより地獄曼荼羅か仏陀再誕・・・

数多くの人間を超越した者が敗れ去ったその悪夢以上の悪夢が今デビルバハムートに向けてその牙を剥いた!


「いよいよもって死ぬがよい、そしてさようなら」


そう言い残してヒロシは元の空間へ退避するのであった。

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