タイトル募集中!?

笹川ながれ

第一章第1話

 里見君太は、いつでも仲間外れにされてきた。

 二人一組でペアを組めと言われれば、いつも余るのは君太だった。

 今日だって、わざわざ、いやな思いをするために出てくることはなかったのだ。学校の正式な行事ではない。

 高校卒業記念にクラス全員でどこかへ遊びに行こうというのが君太の通っていた高校の伝統。

 でも、もう、卒業式は三日前に済ませたのだから、今は、高校生ではない。行事に参加しなくても、ペナルティーが科せられるわけではないのだ。

 僕が参加していなくても、誰も気づかなかっただろうな……。

 パンダ舎入口に行列をなしている元クラスメイト達に暗い眼差しを向けながら、君太は小さなため息を漏らした。

 君太と元クラスメイトの間には、テープ状の仕切りが設置された。係員の人たちがその周りに立ち、仕切りの内側に入れなかった観覧客たちに、ペコペコ頭を下げていた。

「本日の観覧は、ここまでで終了です。申し訳ありませんが、お引き取り願います」

 中に入れなかった観覧客たちから、口々にうめき声が漏れた。

「そんな……。シャンシャン見るために来たのに……」

「シャンシャンは、まだ人間に慣れていないため、観覧時間を制限させていただいております。どうかご理解ください」

 高校生――正確には元高校生――の観覧客がドバッと入ったところで、仕切りが張り巡らされたのだ。君太は高校生の一団とはみなされなかった。

 君太が立ち尽くしていると、係員のお姉さんが、

「お兄さん。並んでいても、もう入れませんよ」

 と声をかけてきた。君太が間一髪で入り込めた高校生の一団に属していると、思いもしないのだろう。

 お姉さんと視線を合わせた時、お姉さんがハッと息を飲んだのが分かった。

 高校生の仲間だと気づいた?

 いや、そうじゃないと、君太はすぐに悟った。

 お姉さんは、突如として、猛獣に出くわしたかのように、怯えたような眼差しになっていた。そして、目をそらしてしまうと、もう、君太には言葉をかけようとせず、逃げ去った。

 誰しも、僕の眼を見れば、怯える。そして、目をそらす。自分と同じ人間ではない。声をかけてはいけない人だと判断する。

 もう、その反応には慣れた。


 君太は、どこにでもいるごく平凡な高校生だった。

 際立った能力はない。成績はごく平凡だし、容姿も平凡。背が特別高いわけでも低いわけでもない。デブでもガリでもない。中肉中背という言葉がこれほど合う高校生は君太以外にいないのではないか。

 眼以外は――。

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