今期一番のクソアニメを決めようぜ!!(2017年秋)

ちびまるフォイ

お前のキャラ設定は…もう死んでいる。

「今期のアニメはクソアニメなかったってことでいいよな」


アニメ研究部ではラインナップを見て満足そうに言った。


「そうそう。うまるちゃんや血界戦線やおそ松さんの老舗もあったし、

 宝石の国にブレンドSや終末少女旅行の新人枠も大健闘だったしな」


かくして、今回のクソアニメはなかったということで終了した。






「あああああ!! ダメだダメだダメだ!!!」


そのとき! 部員が立ち上がっていきなり叫び出した!


「あるよ!! めっちゃあるよ!! なに見て見ぬふりしてんだよ!!」


「いやだって……偉そうに批判した作品がさ、もしファンとかいたら荒れるじゃん……」


「褒めるのは共感されやすいけど批判するのは……炎上の火種にしかならないよ」


モブ部員たちはそれが最後の言葉となった。


今期も量産される空気アニメの数々の中、異才ならぬ異臭を放つアニメが生まれた。



第3位 アニメガタリズ


アニメ研究部に入った女子高生主人公は、

個性豊か(笑)なキャラたちとアニメの魅力を知りながら

部室で仲間たちとゆるゆるなアニメ学生生活を――



「ドーーーーーンッ!!!!!!」


部室が消し飛んだ。


「なんだよこれ! ラブライブ2期のタイミングでコレだすか!?

 ありきたりだよ!! ありきたりすぎて逆に新しくないのを逆に戻って、ありきたりだよ!!」


アニメより雰囲気抜粋

「そう!アニメの売り上げは円盤が物を言うのだ!」

「すごーいこれがコミケなんだね!」

「これがコスプレなんだ!すごーい」



知 っ て る わ。



サーバルちゃんですら、冷めた顔でそうコメントするくらい知ってるわ。

お前どこの国の帰国子女だよ。


そもそも、深夜アニメを見ている人間がコミケ知らない方が少ないよ。


それをさも「これがアニメの裏側!」的な感じで紹介されても、

種を知ってるマジックを見せられてるようなもので退屈極まりない。


主人公は終始、日本で生まれたことを記憶喪失したかのように

仲間からアニメの情報を聞いては感動したり、リアクションしてるけれど……。


「まぁそうなんだろうな」


で終わる。


アニメ制作者がアニメ裏事情をまとめて日常アニメ作ってみました。

アニメの裏事情なら「SHIROBAKO」やってたし。


今さら一般人で楽しめるアニメ日常をラブライブ風に出してどうすんのよ。

深夜アニメ見るオタクの知識量なめんな。


でも、OPは大好き。GARNiDELiAさんの声質好き(´∀`*)



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第2位 妹さえいればいい。


小説家の主人公が個性豊か(2回目)な

キャラに囲まれながら作家として苦労していく日常。


作者「平坂 読」さんは『僕は友達が少ない』の作者で

はがないは2011年最も売れたライトノベル。

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「話は変わるが、君は『バクマン』という作品を知っているかな?」



【バクマン。】

週刊少年ジャンプでの連載を目指す高校生サイコーとシュージン。

漫画制作に苦労しながらも、仲間とともに切磋琢磨していく作品。

この影響でジャンプへの持ち込みが増えたとか?



「バクマン。では、高校生の主人公が必死に漫画を描いて、

 妹さえ(公式略称)では、成人した主人公が必死にラノベを書く……。

 あ、一緒じゃーーん!」



貴様、いつから同じ内容だと錯覚していた……?



蓋を開けてみれば、とってつけたような個性を持つキャラとの日常じゃねーか!

小説どうしたよ!! ただのイチャイチャ日常パートじゃん!!


ラノベ勢からすればそっちでもいいのかもしれないけれど、

だったら小説って設定いらねーじゃん!はがないでいーじゃん!!


・主人公好き好きな下ネタヒロイン ←しょびっちでいなかったっけ

・大学に通う主人公好きなヒロイン ←ニンテンドースイッチ以上に量産されてる

・どうみても女の子に見える弟   ←逆はがない


「なんだこの既視感……!」


作中では小説こそ書いているけれど試行錯誤の部分はほぼない。

「アニメが失敗したー」「取材旅行でいけるぞー」「飲み会だー」がメイン。


バクマンでは「ジャンプの流行は王道だから…」とかの研究もあったし、

新妻エイジとのバトルや、アシスタントの人間模様などもあった。


そういうバチバチのジャンプ感を求めているわけではないけれど、

ありきたりなキャラを配置して、既視感漂うやりとしても面白くない。


そして、気付いてしまった。



「妹要素……どこいった!?」



そう。この作品には主人公はシスコンというキャラ設定こそあれど、


「うっせぇ! そこに妹ニズムが感じられねぇんだよ!」

「もうお前が妹になるしかないんだ」

「編集さん、俺は妹と○○する展開しか書きたくないです!」

といった驚異的な行動動機はなく、


「妹好きだぜ!」と明言するだけで、行動にはあまり反映されてない。

やってたのは1話。


これだったら『魔法科高校の劣等生』の司馬くんのが妹さえいればいい状態だよ!!!


「さすがですお兄様!!」




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第1.5位 URAHARA


ある日、原宿に宇宙人が現れて文化を吸収!

3人の女子高生たちは亜空間のなかで変身して戦う!


原作はアメリカの日本アニメ配信サイト『クランチロール』にて投稿されている

『PARK: HARAJUKU Crisis Team!』という小説。

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「わー敵が襲ってきた!」

 ↓

「変身してやっつけたよ!」

 ↓

トップに戻る



「……え、プリキュア!?」


原宿を守っている女子高生の前に、新聞配達よりやってくる宇宙人。

それをウルトラマンよろしく倒すだけのアニメ。


原宿? なにそれぇーー!?


アニメの世界は原宿らしいポップでキュートな色使い。

ジャパニーズ・カワイイな感じだけど……原宿の設定いるか?


なんか原宿ぽい色じゃないとダメとか……。

現実の原宿が変わると、ウラハラも変わるとか……。


こいつはくせぇーー!!

宇宙人攻めてくる場所がたまたま原宿だったって感じがぷんぷんするぜーー!!



いやいいよ!!100歩譲って、原宿って設定を無視したとしてもだよ!!

この薄っぺらい会話のやりとりはなんなんだーー!!!


「敵が来たよ」

「原宿を守らなくちゃ」

「原宿は私たちの街だもん」


日常アニメのような楽しいかけあいもないし、

百合アニメのような仲のいい感じもないし、

アイドルアニメのようなキャラの掘り下げもないって……なんなんだよ!!!



宇宙人なんて最後の数分で撃退すりゃー、あとはイチャイチャしてくれてええんやで!!!



原宿要素もうすくて、キャラ同士のつながりも希薄で何が残るんだよ!!

エビフライしか印象に残らねーよ!!!


好きだけどね!!エビフライ!!尻尾まで食べちゃうよちくしょーーー!!!!!



 ・

 ・

 ・


服従完了。


「はぁっ……はぁっ……どうだ……やってやったぞ!!

 クソアニメの文句を言えとメールが来たから、

 これでもか!と文句いってやったぞウハハハハ!!!」


ひとり部室の中でよろこぶ男のスマホにまたメールが届いた。



出席番号1番


とりあえず罰を与える。



「な、なんで……理不尽ッ……あべし!!!」


男は体から血を噴き出して死んだ。



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第1位 王様ゲーム The Animation


転校先の高校を舞台に始まる謎の殺人ゲーム「王様ゲーム」

服従しないものは死。クラスで王様を探す死のゲームに挑む主人公。


原作はモバゲータウンにて掲載されている小説。漫画と映画にもなっている。

モバゲータウンでは歴代最高閲覧数4000万PVを達成した。

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1.5位と大きな大差をつけて、腐臭漂う1位に輝いたのは王様ゲーム!!!



あらすじだけ書くと、息詰まる心理戦と正体の見えない"王様"との駆け引き。

クラスメートの死と戦うまさに俺好みのデスゲーム!!!


……のはずが。


・1話で出たキャラが1話で死ぬ

・キャラがだいたいバカ

・回想多すぎ


という恐ろしい難病を抱えていた。


1話で出たキャラが1話で死んじゃうから感情移入どころか「名前なんだっけ?」レベル。

しかも、個性もないからますます覚えられない。AKBだってまだ覚えられるよ!!


しかも本編のほとんどが「実は俺の前の王様ゲームは……」と回想入るので、

ますます登場人物は覚えられなくなるし!!


「はい! クソアニメ大好き!カクヨムの不審人物こと

 スリザリン代表ちびまるフォイです♪」

  ↓

 死亡(かな~し~みの~♪)


終始、こんな感じ。キャラの登場がすでに死亡フラグ。鬼畜過ぎるよ!!



主人公はかつて王様ゲーム経験者だけど、

うまく信じてもらえずに王様の命令に違反したクラスメートが死ぬ。


やがて誰もが王様ゲームの危険性を理解してからの主人公の行動は、

「俺は王様ゲームの真相をつきとめる!!」



いや、待てや。

お前バカか。


地震で家がぶっ壊れたときに、地震のメカニズム研究する奴いねーよ。


まず避難したり、明日の食事の心配したり、とにかく現実的な策を考えようよ。

仮に、王様を特定することがゲームの終了につながるなら警察に渡そうよ。


逆探知で一発だから。


仮に、主人公がバカだとしても1回王様ゲーム経験して大事な人を失ったのなら

もう失わないように対策とか考えるでしょ。ますますバカ。すげぇバカ。


キャラクター達も「バトル・ロワイアル」のように、

自分たちの個性でそれぞれの脱出方法を試すこともなく死んでいく。


「やべーパソコンでハッキングしてたら逆に負けちゃった☆」


主人公が一緒にいるときじゃないと個性を発揮できないのか

挑戦してもすぐに死んじゃったりで「あーんスト様が死んだ」などの

サブキャラが好きになることもない。徹底的にない。


主人公はひとりで突っ走り、誤解され、クラスメートはなすすべなく死ぬ。



「わかった! お前バカだろ! ばーかばーか!!」


作中でキャラは首が飛んだりするほどグロテスクな死に方をするものの、

キャラの薄いクラスメートが何十人もいるわけでさすがにマヒする。


「あ、また死んだ」


感動もなく、共感もなく、進歩もなく。

人の命のあっけなさと登場人物のアホさに切なくなった。




かくして、第3回クソアニメ決定戦は血しぶきの中に幕を閉じた……。





【注意】

クソアニメを見るときはテレビから25m以上離れて視聴してください。

また、特別な訓練を受けてない人はけして近づかないでください。

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