⒋ 姉弟(4) 思い掛けない巡り合わせ
それから斬月が
何か小さな物が回転してこちらに向かってくるではないか。
斬月は身軽にもバク転をとって、その物体から回避する。
「何者!」
着地後、斬月はその物体が飛んできた方向へと振り向き、突然仕掛けてきた相手の存在を確かめようと声に出す。
するとその声に反応した相手が勢いよく斬月に向かって飛び出し、その人物の手元でキラリと光るもの――
一瞬でそれが刃物であると
ガチィンと鉄同士が勢いよくぶつかる音を鳴らし、斬月は対立する相手の顔を見た。
そして彼女は
「あ……あああ………そんな……生きている
「……強くなったね、姉さん………」
斬月のことをそう呼ぶ人物は地球上でただ一人。
相手の正体-それは生前最後の変わらぬ容姿をした妹の『乱月』であった。
あの時から彼女がいつもしていた、今で言うツインテールヘアーをし、斬月と同じような三日月型のアクセサリーが付いたヘアゴムを二つ身に付けていた。
だが斬月の三日月アクセサリーの色が黄色であることに対し、彼女の三日月アクセサリーはブラッドムーンの
赤黒く輝くことから血の色の月とも称されるその月の色は、まさに不吉な予感を感じさせた。
服装は斬月とは違い、現代の人の外出服:
動きやすさを重視した格好をしているあたり、まさに忍らしく思えた。
これは現実?それとも夢?
斬月は未だその思考が追いつかない様子。
その様子を見かねた彼女は答える。
「そんな、化け物でも見たかのような反応を取らないでよ。私は乱月。正真正銘、姉さんの妹だよ。何か証拠はあるのかって?
そうそう、お醤油に付けて食べる団子、好きだったよね。今も好きなのかな?
昔から使っていたその小刀の名前だって覚えているよ。【
相変わらず良く手入れがされているところ、似た者姉妹だね私たち。いくら姉さんが鈍感でも、流石にここまで言えば信じてくれるよね?」
「こ……こんなことって……………」
彼女が言ったことは決してデタラメでは無い。
全て真実だ。
そんなことが現代において分かるとすれば、確かに彼女も長い時間生きてきたことに違いない。
まさしく本人そのものだ。
斬月はただ単純に驚くことしか反応が出来なかった。
この世界でそれを知る者は自分以外にいない……その筈だったからだ。
しかし、乱月が生きていたとなると一つ不信な点がある。
「乱月、貴女のことはリストに載っていなかった筈では…………」
そう、例の《神眼者リスト》には乱月の情報が一切掲示されていないのだ。
乱月は答える。
「そのことなんだけどね。内緒に
「
「落ち着いて、姉さん。これからゆっくり説明するから。
まずは……そうそう。私が死んだ後に私の身に何が起こったのか、最初にそれを話すとするよ」
そう言って、乱月はあの日のことを語り始めるのであった。
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