⒍ 洞視(6) 別行動

 悠人がとある路地にて、一人の少女との間で妙な委細巨細いざこざにあっていた頃――、保呂草未予と裏目魔夜の二人は本日の神眼狩りを実行すべく、喫茶店にて雨宿りをねて集まっていた。


 その場所は帰り際にシュガースティックを何本か悠人が拝借はいしゃくしたあの喫茶店である。


 未予はプルオーバーの上にカーディガンタイプのNEMTD-PCを羽織はおっており、下は動き易そうなミニ丈のプリーツスカートタイプのNEMTD-PCを着用した格好をしていた。


 前に彼と来た時と同じく、ブラックコーヒーをたしなむ未予。


 対して向かいの席に座っていた魔夜は、フレアスリーブにトレンチコートタイプのNEMTD-PCを上に纏っており、下はチュールスカートタイプのNEMTD-PCを着用した格好で、目の前のテーブルにはホイップラテが置かれていた。


 未予は悠人にも集まってもらおうと、電話を掛けてはいるのだが――


『お掛けになった電話番号は電源が入っていないか、電波の届かないところに……』


「駄目ね。全然繋がらない」


「確か、自宅にもいらっしゃらなかったんですよね」


「土曜日にしてこんな雨の中だというのに、何処どこをほっつき歩いているのかしら?現状だと未来で私たちがあの男と出くわすのは、まだまだ先になるようだけれど」


「では、雨がむまではここで待機して、晴れてから目崎さんを探しに行くという流れになるのでしょうか?」


「それならいっそのこと、私たちだけで神眼狩りを済ませた方が手っ取り早いわ」


「それもそうですね。必ずしも目崎さんが神眼の回収を遂行出来るという確証も無いですし、前以まえもって私たちで神眼を抑えておく保険を掛けておくに越したこと無いのは確かでしょう」


「なら、決まりね」


 丁度ちょうど、店の窓から雨が止んだことが確認されると、二人は同時に目の前の飲み物を勢いよく飲み干し手早く会計を済ますと、早々に神眼者プレイヤーを探しに行くのだった。

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