⒌ 暗目(5) 監視役
保呂草未予は携行食を食べながら、
布都部島ができた原因ともなる例の震災の影響で道は荒れ、修理が
それは神眼に――ちょっとした暗視スキルが
「め……
「貴女と出会ったら、
未予は確かにそう言った。ヘアムの協力者-
例の彼女は、トンネル内の暗さで近くにいた未予にしか、その姿は確認できない。
「あのシルエットからこの私を探し出すなんてね、やるじゃん神眼者未予。
それにしても、君が人の名前を言うだなんて珍しいこともあるもんだね」
「貴女の名前だけは別よ。何しろ、私の生存率を高める人物の名ですもの。忘れる訳にはいかないでしょう。
それと
「そんなこと言っちゃうの?けど、その携行食を分けてくれたら許してあげる」
「こんなもの、全部あげるわ」
そう言って未予は、食べかけの携行食を彼女の方へと放り投げた。
彼女は上手いこと、それを掴み取る。
「ではでは早速……
「それじゃあ機嫌取りも済んだところで、そろそろ《本題》に移させて頂いても宜しいかしら?」
「本題?………あー、もしかして〝ガンギマリ〟のこと?
……って、
「そんなのはどっちだって言いわ。
何故なら、貴女はすでに今日の生存分の神眼を持ち合わせているから。違うかしら?」
「その自信……そう、神眼者未予が【未来視】の能力者だったの。
いやぁ~、バレちゃあ仕方がない。見事当てた記念として、こいつをプレゼントしてやろう。有り難く、受け取るが良い」
そう言って、ニーナは未予の
「これは……」
未予は人差し指でその液体をすくい上げると、それを鼻先に近付け匂いを
「この鉄臭い匂いは……血?」
「あーあ、それをすくっちゃダメじゃないか。
その血液こそが君たちの間で言う、神眼の【覚醒】を
「あら、そうだったの?何やら汚らしいものが飛んできたから、思わず払いのけてしまったわ。
悪いけど、もう一度お願い出来るかしら?」
「そいつは無理な相談だね。私はこんなところで、長居はしていられないのだよ。
「待ちなさい」
ニーナはそのままトンネル内の暗闇に溶け込み、
だが、未予はこの状況に悔やむ様子も見せず、
「これは
彼女がそう言って振り向いた先には、いつの間にかここに来ていた藤咲芽目の姿があった。
偶然にも瞬間移動できる範囲を拡大しに、この場所へとその視界に
「お前、さっきのはわざとか?」
「
「とぼけるな!お前なら未来を
「
自らの能力を明かすようなことは言えないからあれだけど、いくら先のことが視えても分からないことはある。
――目にするものだけで、未来は語れないわ」
「お互い、厄介な能力をお持ちなこと。
てっきり、貴女が何か
「あら、私ってそんなに信用ないように見られるかしら?それは少々気落ちしますわ。
それはそうと、今から私と
「いいや、ここに来たのは別の私的な目的の為に来たまでのこと。
こちとらすでに、今日を生き延びる為の眼球はすでに持ち合わせている身。人間同士の
「そう。ならこちらも幸い、控えがあるからここいらで失礼させて頂くわ。では、ご機嫌よう」
そうして未予は元来た道のりへと戻り、トンネル内から去っていった。
「さてと、この場所もあらかた記憶したところだし、こちらも去るとしよう」
そう言って、芽目が【
再びトンネル内にて、奴が姿を現したのは………。
「私の存在に気が付かないだなんて、まだまだ観察力が足りないじゃん。本当に眼球が付いているのかよ、キャハハハハハハハ………」
彼女の
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