⒉ 開眼(2) 目力
悠人はすぐに意識を取り戻した。
否、厳密に言うと強制的に戻された――、と言ったところだろうか。
気付けば時刻は、十七時を回っていた。
そんな今、
そこはこの島に住む、味に
人通りの少ない場所にあるのが、これまた隠れ家的な印象を持ち、店内もレトロで
二人は
代わりに誰かの目を奪う手助けをしてもらいたいと言われ、当然それは勘弁してくれと断ったのだが、それならやっぱり貴方の目を奪うと言うので――
仕方なく彼女に付き従うがまま、作戦会議だとか何とかで話だけならと、落ち着ける場所で話をしようと、取り敢えず近くの喫茶店に来ていたという訳である。
そんなこんなで彼は慣れないデバイスに悪戦苦闘しつつ、妹の紫乃には先に夕食を食べていてくれとの電話を済ませると、セルフサービスのお
「で、具体的にどうするつもりなんだ?」
「そうね、
そう言って、未予は注文したブラックコーヒーを口に運んだ。
ふと、彼女の会話の違和感に気が付いた悠人。
「
「まさか、【
その腕に付いているものは、お飾りなのかしら?
朝見た《ゲーム内容》にも書いてあった筈よ。『その目に宿る特異の力』、と言った意味合いのことがズラズラと―――」
「要するに、自分ので確認しろって言いたいんだろう」
彼はすぐに
目力については、次のように
【目力】
瞳孔の形や瞳の色、神眼の違いによって宿している力は異なり、例として《目で見たものを燃やす力》、《透視》、《未来視》など貴方がたの言葉で言う〝超能力〟や〝
ご自身が持つ神眼の能力や使い方については、
全ては、貴方の持つ神眼が導くままに―――
記載されたその文章を読み終え、悠人はEPOCHの電源を切る。
この時――、彼の中には一つの疑問が生まれていた。
「《未来視》………もしや先の手合わせでの一件だが、最後のあの動き――俺がどう避けるか分かっていたかのように一撃を当ててきたあれは、それこそ未予の持つ力がその未来視だったりなんかして…………」
「ええ。お察しの通り、私の持つ神眼にはまさに《未来視》の能力が備わっているわ」
「やっぱり……あの最後の攻撃は、俺の行動の先を見据えていたからこそ、狙って出来た動きだったって訳だ。
自分で言うのも
「あ、そうそう。ついでに言えば、病院の時から貴方が
そりゃあ、十二年前に死んでいるのだから、能力の存在を知っていても不思議では無いでしょう。
あの時はいきなり能力の話をしたら、君の頭の中がこんがらがるかと思って、あの時は敢えて伏せていたの」
それを聞いた今となっては思えば、昨日起きた例の惨劇の中――、大きく騒ぐ様子も無く平静に見えたのも、前もってあんなことになる未来を視ていたからこそ、覚悟出来ていたのだろう。
「――と言うことは、あれか?今は未予が
だが、そうだとして、仮にも未来が変わるなんてことは無いのか?」
「それは勿論、あることよ。運命を変えようとする力は、どんなものにだって引き起こし兼ねない事象にして―――……そうね。ここは貴方が指摘したことを受け止めて、今一度確認して視ようかしら」
そう言って未予は一度目を閉じ、そして開眼した。
場所は
ふっと視界が元に戻ると、彼女は目を閉じ元の
「……――問題無いわ。私が少し前に視た未来と、現時点においては変わり無いと言ったところかしら。この場所から歩いて数分といったところで、目的の
「へぇ~………ってそういや、ふと思い出したことなんだが、昨日のあれで奴が最後に言っていたピヤー
「Pilleur de oeil、フランス語よ。そうね、大まかに和訳すると〈目の略奪者〉と言ったところかしら?」
「良くそんなこと知っているな」
「昨日調べただけよ」
その言葉を後に、彼女は突然目元を押さえ付けながら、何やらその様子はおかしかった。
「……
「なっ、一体どうしたんだよ。ちょっ、待てって」
未予はすぐさま飲み物代の電子決済を済ませ、急いで店内を出ると、一目散に駆け出して行ってしまった。
悠人は慌ててテーブルに置かれたコーヒーフレッシュとシュガースティックを何個か
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