第2話 新宿線のどこかに

そんな自転車は捨てて仕舞えば良いと思った。


僕が仕事帰りに新宿線のM駅を降りると、いつも彼女は錆び付いたママチャリで迎えに来てくれた。


前の彼氏から引っ越し祝いに貰った盗難自転車。


後ろにも前にも乗る気がおきなかった。


いつかどこかの駅に置き去りにしてやろうとずっと思っていた。


僕がそう言うと、彼女はケラケラ笑いながら、自転車のベルをチャリンと鳴らした。

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