第18話

               宇宙人へ送る音楽

 先日NHKの宇宙番組で宇宙人に音楽を送るヨーロッパ人を紹介していたのだが、その音楽っていうのが何となく宇宙っぽい感じの電子音楽ってやつだった。どうして最近のヨーロッパ人ってのは想像力が貧困なのだろうか。あんなことばかりやってるから今のヨーロッパは注目すべきものが何もない暗黒時代に突入しているのだが(この点日本の方がましだ)。

 それでは僕ならどんな音楽を宇宙人に送るのか。もちろん、これしかない。『スター・ウォーズ』のダース・ベイダーが登場してくる時のあの有名な帝国軍の音楽。宇宙人よ待っていろ。今に帝国軍がやって来る。




              月に憑かれたピエロ・続

 引っ越そうと思っていたのだが止めることになった。理由は簡単、窓から見える月に未練があったため。金が無かったためなどではおそらくない(それにしても税金は高い)。これからまた2年、月に酔いながら暮らす。




                  水迷月

 ムクゲというハイビスカスと同種の花が涼しさを与えてくれて気持ちいい。ただムクゲが涼しさを与えてくれなくてもそのままで涼しいならもっと気持ちいい。ムクゲが目立ちすぎる時代にならなければいいのだけど……。




                カメムシに感謝

 ベランダの葉牡丹の種子にダニのような小さい生物が群がっていた。全滅させようかと思ったけど、よく見ると足が6本で触角があり、ダニではなさそうだ。少し様子を見ることにした。


 何日かするとその生物は脱皮してその正体を現し始めた。それがつまりカメムシだったわけだ(カメムシが脱皮をするとは初めて知った。よく考えると当たり前なのだが)。ダニも迷惑かもしれないが、カメムシもどうなんだ?こいつらがB級SF映画みたいに襲ってきたりして……。ヒッチコックの『鳥』を思い出した。

 あの『鳥』の原作を書いた小説家も日常生活のどこかでこんな光景に出会ったのに違いないのだ。

「いったいこいつらは何処から来て、どうすればいなくなるんだ!」

 そんなことを考えていたらちょっと楽しくなった。


 それで彼らはまだベランダにいる。


 

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