daily02-02


 ヘラの住居を建てる間に、牧場の設備も少し充実させた。

 男性用宿舎には、神田高志かんだたかしと夜間バイトのメンバーが、女性用宿舎には、平野優美ひらのゆみが生活している。男性十名、女性十名が生活可能な状況だったが、うちの牧場で働きたいという希望者が増えてきたと神田から要望があったので拡充した。


 保健所から引き取ったペットも二百匹を越え、常時接していない俺には名前など覚えられない状態になった。

 だが、先はまだまだ遠い。殺処分に遭ってるペットは年間五万匹だ。

 ペットを簡単に売り買いできる状況が、簡単に捨てられる状況が変わらなければ、俺一人が何とかできるものではない。


 いずれそう遠くないうちに、政治に訴えなければならないだろう。

 いくつかの支援企業や団体ともその辺は同意している。彼らは彼らなりに動いてくれていると思うが、経済活動の一部になっている以上そう簡単には政治も動かない。

 そんなことはよく判っている。

 だからと言って、何もしないでいたくないからこそのペット牧場だ。


 この牧場で見つけて引き取ってくれる飼い主もいる。

 自宅で飼えないからと、この牧場で触れあいに来てくれる方も増えてきた。

 その方達にも、ペットを取り巻く環境から目を背けないでとお願いしている。

 地道な活動だが、可能な限り続けていきたい。


 ベアトリーチェと駒姫も大変だが頑張ってくれている。

 身体を洗い、ブラシをかけ、そして放牧場では一緒に駆けている。

 美女と美少女が犬や猫と戯れる様子は実に素敵な情景だ。


 その様子を見たい、あわよくばお近づきになりたい男性の牧場来訪も増えている。

 特に駒姫の人気は凄まじい。

 ベアトリーチェの監視がなければ、仕事させて貰えないのではないかというほど、駒姫目当ての男性が集まっている。


 一応、写真、動画撮影と写生希望は許可している。

 だが、駒姫達は仕事中だから、邪魔は許さないと注意もしている。

 神経質なペットが落ち着かないので、そろそろ入場制限区域も設けて欲しいとの要望も、神田と平野から来たので準備中だ。


 駒姫には、本来同じ日に処刑された側室や子供達を助け、こちらへ連れてくる仕事もある。

 連れてきたら、現代社会を教える仕事もあるし、駒姫自身も年齢相応の知識を身につけるために様々な勉強をしなくてはならない。

 男性ファンと語らってる時間などほとんどないのだ。


 そして、推定すら不可能な年齢の美魔女めがみヘラが来た。

 見た目だけなら二十代半ばから後半で通用するから、二十台~三十台の男性来場者も増えた。

 ヘラ自身、大勢の男性から「美しい」「魅力的だ」と褒められるのがやはり嬉しいのか、牧場をしばしば散歩して、その姿を晒している。

 現代ファッションも勉強したのか、お洒落も様になり、かなりヤバイ色気を放っていて、ちょっと落ち着けと注意しようか悩み中だ。


 大勢の男性の中には、おかしな輩もいるかもしれない。

 だが、駒姫には半神となったベアトリーチェがついているし、ヘラにはボディーガードなど必要ない。

 

 俺のペット牧場は、モフモフと色気あふれる環境で、グッズは売り出さなくても、軽食販売くらいは考えてもいいかなと思える状況になってきたのだ。

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