第14話「SNSに遺されたある文章」


何かが再発したように感じた


精神的なぶり返しの

辛かったあの時期の感覚

これまでの自分を後悔のものに変える感覚


自分の行為を肯定する手段を見失った——



私は独りになろうと遠ざけてしまう


人を遠ざけてしまう

可能性を遠ざけてしまう

遠ざかる足取りに迷いつつ

生きていた


そこで私の息が止まる



たぶん、耐性が

物事に対する呼吸が

身に付いていなかったから


そこで私の息が止まる



人々の馴れように

反射的な側面に

私はおののく


こうやって死のうとする 文章を書くのは止めた方がいい


自分の息を止める作業に入るのは止めた方がいい



でも、生きるの止めた方が賢明だ


私は幸せだ


なぜなら、こうやってSNSに残して

生きた心地を感じているから

生きた心地を感じているから

それが幸せなんだろう?


充実したひとときが外にはあるのだろうか?


「それでも、独り、部屋に居る」




生気を失ってゆく日々に居て、

心を丸ごと預けてしまいたいと思うほど、焦がれた


そんな出逢いがあった


 

屈託ない笑顔の人


やさしさに触れるといつも、私はいじわるをしてしまう

「照れ」じゃなくて、嫌悪感があるんだ思う

「優しさ」についての嫌悪感がある

私は考え過ぎてしまう

頭がパンクして、物事をいい加減にしてしまった

逃げたくなった


「巻き戻しますか、時間を?」


「変えますか、現在を?」


「その痛みを変えられるのか?」


自分の到らなさにただ悔いるのさ



言葉が欲しかった


ただ、肩に、肌に

背中をさすり、掛けてくれる言葉を

その出逢いから欲しかった



私を覆う雲の群れ

地上のコンクリートに雨のしずくを撒いた

雨音が私の耳に、肌に、

記憶から焼き直す

 

大きな心の動きを感じ取ることが出来れば

自分も大きく動き出せると思った


そうすれば、

他人を遠ざけようとすることもなく、死のうとすることもない



「笑ってほしいのかい?」


「あげないよ。きみには

 やさしさはあげない」


「歪んでいるのは…私だ」


 

どんな感情にも肩入れできる気になると、

自分の怠惰な行為についても甘くなって考えてしまう



活き活きと生きてゆくためには、『剪定』することが大切だ


「犠牲」と為る部分に拠って、自身の活き方を洗練してゆくのだ

あらゆる「茎」を見分けなければ、

自分に必要な栄養を無駄に奪われてしまうわけである

あらゆる空気の入れ替えをする働きが、随所随所で必要になってくる


だから、人を遠ざけて

出逢いを不意にしてしまった


そのとき、すでに足音は壊れていた

面と向かって…目は伏せながらも、笑い顔で話し合えた時間

想い出して、こうして忘れてゆくとしても

 


ーーいつもの雨


私を文字通りの人間だなんて、思わないでほしい

言い表せない躊躇いが、言葉に含まれるんだ


ーーいつもの雨


私を文字通りの奴…だなんて、思わないでほしい

今は言えない、喉の詰まりが、

一瞬に投げ出された引っ掛かりが、言葉に出ていないんだ


……いつもの雨


私を、文字通りの奴、だなんて、思わないでほしい

止めてしまった、過ぎてしまった言葉が在る


もう一度、私の前を通り過ぎたら思い出してくれないか?


・・・…いつもの雨


文字通りに居なくなってしまうのは、悲しいよ




いつも雨降りだった


私はただ、君が生きる活力になりたい


君は私を通じて、人間の弱さを観てほしい


私を通じて、人間の痛みを…


みんなも、そう


 みんなも、そう


  みんなもそうやって、

 

  自分の気持ちを伝えるだけが、精一杯なんだ



なんで、こんな人間になっちまったんだろうか?




いつもの雨のあと

私の横を通り過ぎてゆく自動車が水を撥ねかけてゆく

ズボンの裾に掛かり、刻まれる

動き出したのは、時間か…?

それとも、心か



目線の上

  嘘みたいに晴れた空が

 

     一面に広がっている




「いつか枯れてしまうのかな?」と、あなたは手に取る

 あなたが摘み取った最盛期の花


 ここら一帯に、掴みきれない花が、精一杯に、咲き誇っている


 

 

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