第14話 内藤みちる、にゃんこと女子トークしちゃいます!



「やっぱり女は恋に生きるものよね…」と女子力猫〈ミーコ〉はため息をついた。

人も猫もつくづく女という生き物は同じだなと内藤みちるは思った。


さっきから女同士盛り上がっているのは内藤みちると女子力猫〈ミーコ〉。内藤みちるも火の輪くぐりをしてこの異世界にやってきたが、今は女子力猫〈ミーコ〉の家にお世話になっている。


さっきからずっと女子力猫〈ミーコ〉は恋バナばかりしている。


どうも近所の爽やか男子猫〈クロ〉と付き合っているらしいけれど、友達以上恋人未満の関係から発展しないことが気に入らないらしい。


「私、ミーコなんて平凡な名前じゃなくて、クリスティーヌのような名前がいいのよねえ。クリスティーヌアンドクロ。悪くないんじゃない?ねえ、明日から私はクリスティーヌって呼んでくれていいわよ」


クリスティーヌ…ねえ。


そういう顔じゃないじゃない、とはさすが女同士で言えなかった。


「ねえ、今年の夏ドラマ見た?あの月9の「恋はうまいがおだては下手」ってやつ」

女子力猫〈ミーコ〉がまた話題を変えてきた。


「ああ、『恋うま』ね。見てるよ」


「恋うま」は人間界でも流行っていたが、今この異世界でも一大ブームになっている。新人の斎藤カヅマくんがイケメンで、特にメス猫の間では人気が高いらしい。注:ミーコ情報より。


「なんといっても、あのイケメンの斎藤カヅマくん、うけるー。あの顔で鼻キスでもされたら、もうキュン死しちゃうわー。カヅマくん、猫な私でも彼女にしてくれるかしら?」


「さ、さあ、どうかしらね。案外、人よりは受け入れやすいかもしれないわね?」


「私、カヅマ君ならお嫁にいってもいいわ。いつもカヅマ君の帰りを待って、帰ってきたら玄関までお迎えに行くの。貞淑な猫でしょう?」


まあ、猫ってそんなもんだけどね。

女子力猫〈ミーコ〉はとろんとした瞳で妄想モードに入っていた。


テレビを見ていると、東京が映し出された。

新しい東京駅。雑踏を歩く人の多さも久しぶりに見る。


「ああ、東京、はあ、東京。はあ。いいよねえ。東京。憧れちゃうわ」


女子力猫〈ミーコ〉は手を胸に当ててそう熱く語り出した。

ああ、またおしゃべりが新しく始まるのね…。


「でも、そういえば、東京からテレビクルーがくるらしいわよ。猫しかいない異世界を特集にくるらしいんだけど」


そう言いながらも女子力猫〈ミーコ〉は東京の画像に釘付けになっている。


「ああ、東京!本当に素敵。新宿に裏原にギロッポン。スカウトされちゃうかも。キャー。おしゃれしなくっちゃ」


猫をスカウトしてもなあ…。


それにしても。まさかこんな未来が待っているとはねえ。

しみじみそう思う。


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