冒険者編

冒険への準備

俺達が家に帰ってすぐお城からの使いがやって来た。どうやら荷物をまとめてさっきの応接室に来て欲しいとのことで、さっき行ったばかりじゃないかと思ったが、俺は少ない荷物を持つとランベルトに挨拶をしてから瞬間移動でさっきの応接室までとんだ。


 「やぁ、すまないね」


 応接室に入ると瞬間移動で来るのがわかっていたかのように話しかけてきた。


 「どうしたんですか、さっき帰ったばかりですけど」

 「やぁそうなんだけど、やはりあの荷物を持ち歩くのは危険だから、この都を出るまではこの城にいて貰うことにした。もちろんただだし必要なことがあれば何なりと言ってくれて構わないさ。私はそれくらい君に期待してるんだ」

 「はあ・・・そういうことならお言葉にあまえて、では工房を借りられますか。あと少しランベルトにも話して来たいので時間を頂きたいのですが」

 「構わないよ。工房は直ぐに用意しよう。君の部屋を彼に用意するよう頼んだから次もここに飛んできてね。あと夕飯はでき次第君を呼びに行かせるからそのつもりで」


 そう言うとラグナは部屋を出ていった。面倒なことになりそうだと思いつつ、ランベルトの家に戻った。


「そうか、寂しくなるな。いつでも来ていいからな

  あ、でも直接部屋に来るのだけは勘弁な、あれ心臓に悪いから」


そう言って彼は送り出してくれた。部屋に戻るとさっきの人が待っていた。


「間宮様ではお部屋へご案内致しますのでついてきていただけますか」


 そう言うと彼(結構な歳に見えるが)恭しくお辞儀をすると扉を開けて先に出るよう促すと部屋に案内してくれた。


 「では、こちらが間宮様が出発の日までご使用になられるお部屋になります。何か不都合がごさいましたら私ども使用人になんなりとお申し付けくださいませ」


 そこまで言うとまた恭しくお辞儀をして部屋を出ていった。


 部屋はとても広かった。天蓋てんがいといっただろうか、あれがついているとても大きなベットが一つと、テーブルに椅子、化粧台がありどれも手の込んだ意匠が隅々まで施されている。一目みただけでも高価なものとわかるものばかりだった。

 少し休むと、早速作業に取りかかった。


 「まずは荷物をどうにかしないとな」


 そんなことを一人ごちった。そして思い出した、こうゆうときラノベの知識は役にたつ、しかしそれと同時に黒歴史も思い出してしまいベットの上でのたうち回るはめになった。イメージは・・・そう、大きな倉庫。感覚をつかむまではなかなか苦労した、うまく蔵を圧縮できなかったのだ。試すこと数十回やっとのことで出来たのがブレスレット形のマギアエルガレイオン"蔵"である。これには竜次の竜という字が刻まれており。ここがポイントだったりする。発動には取り出したいものをどこに出すか想像するだけで、仕舞うときは、その物をイメージして蔵と言うだけという。スーパー便利アイテムである。またリストと言うだけで蔵に入っている物の詳細がわかるかという素晴らしい機能付きである。

 とりあえず持ってきた荷物を全て仕舞うと、その調子でどんどんマギアエルガレイオンを作った、最初は数十回かかったが、だんだんとコツを掴むと十数回で完成できるようになった。中にはイヤリング形のアーティファクトで携帯電話のような物も作った。そんな感じで他にも3つばかり作ると夕食の用意が出来たと呼びにきたので、呼びに来てくれた人について食堂へ行った。そこにはまだ誰もいなかったが、長机に2人分の食器があったことから、俺とラグナの分だということがわかった。


 「いやいや待たせてしまったかな」

 「いや、今着いたばかりだよ」

 「そうかなら良かった、では食事としようではないか」


そう言うと料理が運び込まれてきた。どれも美味しくつい無言で集中して食べてしまった。途中で笑い声が聞こえて我に帰ったとき凄く恥ずかしかったのを覚えている。そうしてデザートまで食べ終わると今度はお風呂に誘われた。お風呂はイメージしていたよりも普通だった。


 「どうだい食事は美味しかったか」

 「えぇそれはとても、なにからなにまでありがとうございます」

 「それは良かった。私はねこんな身分だからこうして気軽に話せる人は少ないんだよ。だから君や彼ら宮廷魔術士団の団長、そして相宰には本当に感謝しているんだ。君や彼らと話していると立場を忘れられるからね」


 皇帝というのは、やはり大変なんだろうと改めて思った。お風呂からあがると俺は食事の前に作ったイヤリング形マギアエルガレイオン、"繋がる"と移動用マギアエルガレイオン"ピンポイントゲート"をプレゼントした。


 「これは同一の物を持っている相手の顔を思い浮かべるだけでその相手と話が出来るというもので、"繋がる"といいます。

 あとこれは"ピンポイントゲート"というもので対になる2つの間でのみ通ることが可能になるマギアエルガレイオンですこれをどこかの部屋においといてくれますか」


 そこまで説明するとラグナは口を大きく開けたまま固まっていた。たっぷり数十秒そのままの状態でいると、やっと戻ってきた。


 「間宮君、これ本当にもらっていいのか」

 「はい、いいですよ。ですがすみません、金属を100キロ分ほどと、服をいただけますか」

 「もちろん構わないさ。すきなだけ用意しよう」


 そういってくれた。なにからなにまで本当にありがたい、いつかお返しをしようと心に誓う竜次であった。そのあと"繋がる"を他の団長三人にも今度渡すと言ったら大喜びしていた。

 そんなことがあったが今日も無事(?)1日が終わった。


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 次の日朝食を終えるとラグナが工房へ案内してくれた。もの凄くるんるんで・・・


 「さぁここを使ってくれ、昨日頼まれたものは既に運んである。」


 そう言って渡された工房はなんと城の庭にあったお屋敷であった。


 (広すぎだろおい・・・)


 そんなことを心のなかで一人ごちっていると、ラグナはカギを開けて中に入っていた。


 「えっと、これが神聖石オリハルコンで、これが天武石ヒイイロカネでこれが鉄ね。確か、神聖石が軽くて世界一の硬度を誇る。で天武石が・・・」

 「おいおい、おかしいだろ昨日の今日でどうしてこんなのがいっぱい集まるんだよ、てかさすがにこれはやりすぎだろ」

 「いや、君はおそらくなにか凄いことを成し遂げる。だからこれらは必要なものだ」


 なにをいってんだよと思ったが、前にランベルトと話したことを思い出した。何でもラグナは相手を見るとその人が未来でなにをするのかがなんとなくわかるのだそうだ。そういうことなのだろうと納得するとありがたくもらって作業を開始した。ラグナは公務が山ほどあるというので相宰に連れていかれた。

そんなこんなで今日は1日、黒歴史に書いてある武器の設計図(銃)等をみながら装備を整えていった。

 本のページを捲るたびに奇声が上がり何度も王宮の人が見に来たのは、言うまでもないだろう

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