第2話
はぁ と無意識にため息を吐くと嫌味たらしく白い煙が出てくる。
冬はあまり好きではなかった。
人工的な光やいろめく男女の声
追い打ちをかけるような身体まで冷たくなる空気
四季を楽しめない智は自分の殻にこもってするべき事をして寝てまた同じ日々を過ごしていた。
きっとこのままだと春もこんな感じだろうか別れや出会いなんて自分とは程遠いなと感じる。
今はただ野良猫にご飯をやるのが智の日課であり微々たる幸せなのだ。
「にゃぁお」
「ほらほら、そんなに慌てんな。」
「ごめんな、俺んちアパートでお前のこと飼えねぇよ。」
「にゃぁ」
「可愛いですよね」
猫と男1人がじゃれあうのに似合わない声がした。
「太ってきてるとは思ったんですがまさかご飯貰ってたとは」
おばあちゃんが目的もなく話しかけるようにこの女性もそうだと思い適当に当たり障りのない返答をした。
「あぁ、1回あげると日課になってしまって」
「そっか、よかったね、ネコ丸」
「ネコマルっていうんですか」
適当に会話をしネコマルが毛繕いを始めた頃
俺は帰ることにした
帰るはずだったが
「少しの間だけ泊めてください」
彼女の一言でいつもの帰り道は少し非日常なものになった。
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