らぶトモ 第6話 【デートに誘うぞ】

泉水ちゃんのお家から帰ったその日の夜。

 開けるドアがすごく重く感じたよ。


「ただいま〜」

「おお、奈々おかえり。お腹空いてるか?」

「うん」

「じゃあ手を洗ったらリビング来いよ。夕飯すぐ用意するからさ」

「ありがとうお兄ちゃん。すぐ行くね」

「ああ」

「あ、お兄ちゃん!」

「ん?」


 う、うわ〜。何だろう?デートに誘うってすっごくドキドキする〜!これまでだって、お兄ちゃんと一緒に

どっか遊びに行くことなんて何度もあったのに。なんで今まで意識しないで誘えたんだろう?


「んん、な、なんでもない。部屋行くね」

「お、おう?」


 お兄ちゃん絶対変だって思ってるよ〜。どうしよう〜。


「いっただきま〜す」

「はい召し上がれ。 今日のオムライスはうまくいったぞ!」

「すご〜い!ご飯がウェディングドレス着てるみたい。卵が、ギャザーみたいになってるよ〜。それに、いつも美味しいけど、卵がとろとろで奈々、いくつほっぺた落とせばいいか分からないよ」

「あははありがとな」


 今誘えば、お兄ちゃんOKしてくれるかな?


「お、お兄ちゃん!あ「奈々、スープのお代わりどうする?」


 く、食い気味に被っちゃった・・・。なんというタイミングの悪さ!


「うん、いただくね〜、あは、あは」

「はいよ。ちょっと待ってな」


 今度こそ!呼吸を整えて、いつも通りさらっと、自然に!


「はい、スープ」

「ありがとうお兄ちゃん」


 さっきから何なんだ?ものすごく奈々から見られてる・・・。

 アニメで表現したら、【じとーーーー】っと見られてる。


「な、なあ奈々。お前俺に何か言いたいことがあるんじゃないのか?」

「え?何でわかっちゃたの?」


 うえ〜ん、なんでバレたのかな?


「まあ、なんとなくだけど」

「そっか・・・。えっとその」


 一緒にねこねこピュアランドに行こうよ!

 簡単でしょ?コンビニいく?とか買い物手伝ってって言うのと一緒じゃない!がんばれ私〜!


「あの、に、日曜暇?」


 うっわ、奈々珍しくめっちゃ睨んでる!

「あ、ああ、ひま「だよね〜!暇だよね〜!お兄ちゃん日曜日に用事なんかないよね〜。あったとしても、全部キャンセルだよね〜。日曜は奈々と遊びに行くんだからね!もう決定だもんね!」

「あ、奈々ちょ!「そっか〜、お兄ちゃんも日曜奈々とお出かけしたいよね?え?どこに行くかって?

 前々から行きたかった、ねこねこピュアランドだよ!行くよね?ね?ね?」

「あ、ああ、いいよ」

「じゃあ決まりね、明日は、現地集合ね!駅からすぐ近くに入場口あるからそこに朝9時30分に待ち合わせね」

「え?一緒に行けばいいんじゃないか?」

「いいから!現地で待ち合わせね、わかった?お兄ちゃん」

「ああ、わかったそこまで言うなら」

「じゃあ、私楽しみにしてるからね!もう遅いから私、お風呂入るね。オムライスご馳走さまでした」


 バタン!と、奈々は勢いよく部屋を出て行った。そのあと、さっとお風呂から出て、一言。

「お兄ちゃんおやすみ!」

 と、声をかけてきて部屋へ行ってしまった。


 まだ夜の8時をまわったばかりだと言うのに、もう寝るのか・・・。

 それにしても、いつにも増して、奈々の行動がおかしいな。

 なんかあるのだろうか。

 しかも遊びに誘ってくれてる時の、あの強引な感じ。

 あからさまにおかしい・・・。


 一体奈々は何を考えているのだろうか。

 年頃の女の子の考えが全くわからない。

 幼い頃は、だいたい奈々が考えていることは予想がついていたのに・・・。

 これが、成長する・・・と言うことなのだろうか。


 いいことなんだろうけど、ちょっと寂しかったりするな・・・。

 親離れの第一歩・・・と言うか兄離れ・・・。

 本当に自立した奈々・・・。想像したら、ものすごく寂しい気持ちになった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

〜らぶ トモ〜 LOVE TOMORROW にのみやみのに @ruroni0424

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ