発禁クリエイターズ
不聡明人類
発禁は法制度上存在しない(出版差し押さえがないわけではない)
やぁ、小説を愛好する同胞諸君。
人生で最悪な瞬間に遭遇したことはあるかな?
痴漢の冤罪を食らいかけたラッシュアワーの刹那? もしくは表紙買いした軽小説がナナメに読むのも苦行レベルの出来だった時かな?
最悪の振れ幅が大きすぎるって?まぁ所詮は一つの感情、一個人の相対的評価で如何様にも取りうるからね。誰も他人の最悪なんて定義付けられないのさ。
ん? 私かい? そうだなぁ、少なくともこれまでの人生で『サイアク』とまで言わしめるような不幸に見舞われたことは無いね。
好きが高じて文字を書く仕事に就いてからは、金に困ったことはないし、それでいて身辺の同僚諸君が心をすり減らして未来の糧を得るべく御社御社と連呼していた在りし時にも私は平和かつ幸福なキャンパスライフを送っていたさ。近々新しい本も出してもらえることになったし、この年齢にしては順風満帆な人生だよ。この場で諸君にこんなことを聞くのも全ては創作の素材集めだから、決して不幸な人を後ろ指さしてあざ笑おうなんてことも考えていないから安心してくれたまe、おっと失礼。
編集から電話だ。ちょっと席を外すよ。
もしもしエディタ―?
………………
ふむふむ。
………………………………
ふむう。
『というわけで今シリーズは…………ということで、よろしくお願いします』
うん、把握した。それではまた打ち合わせで、はーい。失礼します。
ピッ
やぁ遅くなったね同胞諸君。今一度問うが、人生で最悪な瞬間に立ち会ったことはあるかな?
少なくとも私にとって最悪な瞬間、それは――――――
つい先程だなクソッタレ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます