神の思い

エデルトルートちゃんを殺して、私は空に帰った。


痛い。


心がどうしようもなく痛い。


昔は、わたしも無力な存在だった。


神は山、海、大地、森羅万象に宿るけれど。


わたしは人のちっぽけな願いをかなえるだけの存在。


ひもじい人に一粒の麦をあげたり。


強くなりたい人に、腕立て伏せを一回余計にできるようにする。


そんなことしかできないわたしを見て、収穫の神プルートスや戦の神アレスはあざ笑っていた。


悔しかったけど、それでもよかった。他の神にどんなにバカにされても、わたしをしたってくれる数少ない人の笑顔を見られればそれで満足だった。


でもそんなわたしに転機が訪れた。


ひもじい人にパンを上げたり、強くなりたい人に岩を持ち上げられるようにすることができるようになったのだ。


日本という国の文献を紐解くと、「神は敬するほどにその威を増す」とあった。


どうやら、数百年の間に私を信ずる人間が増えたことでわたしの力が増したらしい。


それでも、他の神と比べれば小さなものであったけど。


嬉しかった。純粋に嬉しかった。


それからもわたしは小さな願いを叶え続け、その力を増していく。


どんどん力を増して、私の信者が増えて。


それと反するように、他の神の信者が少なくなっていく。


そんなある日のこと。


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