第三章 Absolute Beginners⑨
「こん馬鹿!
ホールデンは正座をし、大人しく
ここはラロケット・インク受付前のホール。あの後、数十分にかけて2人は
ヴィンセントに本日の成果を報告する。「えれーおそかったじゃねーか。2人でナニしてたんだぁ?」というヴィンセントの問いに
そしてホールデンとメグも
「はぁはぁはぁ……」
「あ、あの……何があったかわからないけど、その辺で
そこにおずおずとした様子でメリーが仲裁に入って来てくれた。
「アンタ明日からもう何もしなくていいから!」
「……ハイワカリマシタ」
ホールデンが生気のない声で返事をすると、メグは最後に強く
「ホールデン君
メリーは心配そうに手を差し伸べてくる。その手を取ると立ち上がる。メリーの手は
「メリーさん、ありがとうございます」
「初日だしきっと色々あったんだね。大丈夫だよ。明日は明日の雨が降るってね」
「……そうやって地が固まればいいんですけどね」
「あ、あれ? 雨じゃなかったっけ?」
顔を真っ赤にしてわたわたと照れるその仕草はとても
「それじゃあ、
「へ? メリーさんのお家同じ方向なんですか?」
「だって今日から一緒のお家に住むんじゃない」
「えええええ!!」
ホールデンの低いステータス値で
おろおろとしていると頭の中に声が
『手紙が届きました』
どうやら
差出人 ラロケット・インク 専務
内容 今日、お前に伝え忘れた事がある。本来なら入社前に伝える事なのだが、お前の場合は色々とイレギュラーだったからな。ウチの独身の社員は、男女関係なく全員社員
メッセージを読み終えるとメリーの言っていた事を理解すると同時に
(一緒のお家って寮の事かよ……)
「ホールデン君、それじゃあ行こっか」
「そ、そうですね……」
女性と2人で帰る事にホールデンは
◆◆◆
ラロケット・インクの社員寮は第1区画の外れにある。独身者全てが住んでいるという事もあり、そこそこの規模感の寮であった。
「ああ。ホールデン君お帰り。
奥の方からそんな
「君も飲むかい?」
誰にでも好かれそうな
「サリー……なぜここに?」
「あれ、聞いてなかったの?」
「聞いてるも何も、さっき寮に住まないといけないって事聞いたから、何もわからんぞ」
「そうなんだ。なら改めて。ルームメイトのサリー・バーンズです。よろしくね」
サリーは手を差し伸べてくる。だが、ホールデンはそれに
ホールデンは
「『使用者の財産の位置を特定する』ってどういう事だよ……」
「どうしたの?」
「今日2つスキルが発現したんだが、片方の能力がわからないから確かめたいんだ」
「さすが《
サリーは心の底から
「……
「まさか! そんなつもりは毛頭ないよ」
「それならもっと
ホールデンは
[俺の物は俺の物]
《
スキル名を発声すると
「なんだこれ……」
ホールデンが1つ目の点を
「これは……」
「
いつの間にか横で見ていたサリーが
「勝手に見るなよな」
「まあまあ。それよりこの全然関係ない場所にある2つの点は何なんだろうね?」
「ああ、本当だ。なんだこれ? こんな場所に行った
ホールデンはその点を触った。すると1つは財布で、もう1つが『金 3567ルード』と表示される。場所はミルドー山の山奥だ。それを見て1つの推論に
「……今日、
サリーも
「……ホールデン君、このお金の金額はあってるの?」
「正確な金額は覚えてないが、だいたいこの金額だったと思う」
「これは……行く価値あるね」
「ああ。明日の朝一で行くか。取りあえず
しばらくすると社長から連絡が返って来た。明日9時に集合の後、すぐにミルドー山に向かえとの
「ホールデン君、まだご飯食べてないよね? 食堂にいかないかい?」
そういわれると、今日色々あり昼を食べていなかった事に気がついた。
「お前がおごってくれるならな」
サリーは苦笑し、部屋を出る。ホールデンも食堂に向かった。
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