第29話 サイド母様達

 これで良しっと。


 彼女は新たに設計した種族をシステムに適用させた。これで後はシステムを介して種族を獲得するものが出てくる。

 今回創造したのは、魔子アメーバと聖子アメーバ、さらにマナアメーバの3種と地棲アメーバだ。

 これによりアメーバはこの世界の生態系の底を支える大事な存在となっていく。


 さて、次はどうしようかしら。

 ・・・。そうね~、ここで植物にも手を出してきましょう。


 そんな彼女をよそに、2体は・・・喧嘩をしていた。


「ふん、やっと念を飛ばさるようになったのね。このおバカさん。」

「馬鹿とはなんだ、馬鹿とは。」

 その長い体を振り回し抗議の声を上げるペスモルトゥム。

「ちょっ、あんた体が長いんだから危ないでしょ!」

「む、しかし、元はと言えば私を馬鹿呼ばわりしたお前が悪い!」

 現在二人ともにレベルが一つ上がっており、ペスモルトゥムは念話の獲得と、クチケラ外骨格と節足移動を2レベル上げいる。

ディプテラはファーマーを獲得し、次のレベル時にレベル注入を獲得する予定である。

「はん、私から一歩も2歩も出遅れているあんたにバカって言って何が悪いの!」

「ムムム、出遅れているのは認めよう。母様との貴重な時間を無為に過ごしてしまったからな。」

 因みに母様はボディランゲージだけでの会話はそれはそれで楽しんでいたりした。

「2体とも~、中がいいのはいいけど程々に、殺しあわないようにね~。」

「母様!これのどこが仲がよくみえるの!」

 ガクンガクン

「あんた、念を送れるんだから念話しなさいよ・・・。」

「あっ。」

 シュン。

 今日も今日とて母様ご一行は平和な日常を繰り広げていたのであった。

 その周囲では、生存を掛けた殺し合いが続けられているその最中での、心温まる会話であった。


 現状周囲の生命たちは、彼女を襲うことはない。たとえ眷属という関係性でなく、直接生み出されたわけでもないが、この世界の住民は彼女を見た瞬間に理解するのだ。あの方が私たちの母様だということを。

 これは、システムを介した情報の共有によって起こっている。

 そして、そんな彼女と行動を共にする2体には羨望の眼差しが送られる。

 彼女はそんな彼らが、自分と行動を共にすると、近づいてきたのならば受け入れていたが、彼女から他の子供たちに、積極的に念を掛けることはしなかった。

 彼女はあくまでも、子供たちの自主性に任せようと決めたからだ。


 かわいいわね~。他の子たちも遠くで眺めてないで、一緒に居たいならそういえばいいのにね。まったく素直じゃないんだから。

 ま、自分の行動の結果は、自分で面倒を見れるようになって欲しいから、私からは何もしないでおきましょ。

 そんな彼女の目の前に新たな生物が生み出されている。


―――


レベル1


芝レベル1

10㎝~20㎝程の草丈の野草


ヴィリディータスレベル1

地下茎に魔核を持つ、20㎝~30㎝程の草丈の魔植物。

スキルマナ吸収を獲得する。

スキルマナプールを獲得する。


マザーヴィリディータスレベル1

スキル交配を獲得する。

スキル出産を獲得する。


魔物特性

魔核レベル1

地上適正


スキル

成長スキル

交配

出産


生活スキル

マナ吸収レベル1

周囲のマナを吸収する。


マナプールレベル1

吸収したマナを溜める。

溜められる量は10×スキルレベル


ステータス

HP3/3

MP3/3

SP3/3

オド3/3


生命力3

筋力3

魔力3


―――


レベル1


芝レベル1

10㎝~20㎝程の草丈の野草


ヴィリディータスレベル1

地下茎に魔核を持つ、20㎝~30㎝程の草丈の魔植物。

スキルマナ吸収を獲得する。

スキルマナプールを獲得する。


ファーザーヴィリディータスレベル1

スキル交配を獲得する。

スキル出産を獲得する。


魔物特性

魔核レベル1

地上適正


スキル

成長スキル

交配

出産


生活スキル

マナ吸収レベル1

周囲のマナを吸収する。


マナプールレベル1

マナを溜める。

溜められる量は10×スキルレベル


ステータス

HP3/3

MP3/3

SP3/3

オド3/3


生命力3

筋力3

魔力3


―――


 4枚の葉をつけた芝が2房並んでいた。


「母様、新しい種族?」

「ええそうよ。」

 ディプテラの疑問に答える彼女。

「雑草?」

「まー、そうね。種族は芝よ。」

「芝・・・、地味ね~。」

「ふふ、生態系っていうのはね、こういった子たちが支えるものよ。」

「そうなの?」

「あなたもその内理解できるようになるわ。」

 2体の念話を興味深げに聞いているペスモルトゥムは、深々とその体を折る。

「ふ~ん、母様がそう言うなら、焦る必要無いかな。」

「そうそう、この子を食べるとねオドが回復するのよ。」

 フルフル震える2房の芝・・・。

「へー、じゃー。このまま数を増やせばオドの回復源になるのね。」

「そうよ、この子たちが溜めたマナからね。」

 彼ら魔物は魔核で自然に回復出来るが、瞬間的な回復量はそこまで多くはない。この芝の誕生は今後この世界の生態系に影響を与え、アメーバと並び非常に重要な役割を担っていく事になる。

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