第26話

―――


戦闘系のスキルの取得を確認しました。

これより戦闘システムの稼働を開始します。


―――


「母様どこかで戦闘が行われたようですね。」


 戦闘システム、戦闘を統括するシステムである。

攻撃力計算や防御力計算を行いダメージを算出するシステム。

算出されたダメージはHPを削り、HPが0になると死亡する。

 また、ステータスシステムの変更も、戦闘システム稼働によって行われている。

例を挙げて説明をしよう。


種族レベル

アメーバレベル10

水棲アメーバレベル5


スライムレベル5


職業ファーマーレベル5


 この状態の時戦闘システム稼働前では、アメーバ系統のレベル最小値の5とスライムレベル5、そして職業レベル5がプラスされ、ステータスの上限値は15となっていたが。

 システム稼働後は、全種族全職業レベルの値が合算されるようになる。

 つまりは・・・、

アメーバレベル10+水棲アメーバ5+スライムレベル5+ファーマーレベル5=ステータス上限が25となる訳だ。


「母様ダメージ計算は今後の脅威になりますね。」

「そうですね、ですが。ステータス上限の仕様変更はこちらに優位です。」

「確かに、母様はレベル10という上限を突破していますから、ステータスで母様に及ぶものは居ないでしょう。」

「ええ、現状ではという言葉が付きますがね。」


優位性は確かに存在するでしょう・・・が、今後は自分自身の生存についても考えていかないといけませんね。


―――――


「マスター戦闘システム稼働開始しました。」

「そうですか。これでちょっとはRPGっぽくなってきますね。」

 創世者たる儘は何を望んでこの世界を作り上げ、システムを構築し適用させ運用しているのか。

「今後もこの調子で用意してある、色々なものの稼働が為されていけばいいですね~。」


―――――


「母様、今後の予定はどうしましょうか?」

「そうですね、とりあえず戦闘能力の確保ですかね。」


 彼によってもたらされた弱肉強食の時代到来によって、この世界に住まう者たちは自身の生存を掛けて、力をつけていく・・・。力を付けなければ力に蹂躙されてしまう、しかし、力を付ければ闘争の中へとその身を委ねることになる。

 創世者の思惑は未だ誰も知るところではないが、否が応でもその思惑に翻弄されていく。


 戦闘能力の確保ねー、どうしましょうか・・・。とりあえずステータス上昇とスキルの取得ぐらいかしら。

 今はそのぐらいしかやれることはないわね~。


―――――


 これで、殺した奴らの死体は食べ終えたな。


―――


称号死体食いが解放されました。

死体を大量に食べたものに送られる称号。

死体を食べた時の取得経験値上昇:小


―――


 上昇値小か、やっぱり自分を食うのが一番効率がいいな。

 ここにあった死体を食べてもレベルが上がらなかったしな~。

 もっと、強いやつじゃなければ、食ったところで早々とレベルが上がるもんではないか。


 彼は貪欲に自分の強さを追い求め、喰らい続ける。


―――


レベル120

残りLP351


種族

アメーバ10

水棲アメーバレベル10

ファイターアメーバレベル10

マザーアメーバレベル10


職業

キャリアーレベル1


スキル

成長スキル

捕食レベル10

細胞分裂レベル10


生活スキル

念話レベル1


眷属スキル

レベル注入レベル1


戦闘スキル

触手打レベル10

2連撃レベル10


HP10/10

SP10/10

オド10/10


生命力10

筋力10

魔力10


―――


 やっぱり自分が一番うめーな。自分以上にうまいやつに出会う。

これが今んところの目標にしよう、うん。

 さてっと、んでは気になっていたスキルを取ってみるか。消費LP量は多いが俺にとってはかなり有用なスキルだしな。


―――


50LP消費してレアスキル成長促進を獲得しました。

捕食することにより経験値を得ることが出来る。

レベルや生命力、MPやオドを使用し細胞分裂が可能。

レベルをLPに変換できる。

スキル捕食レベル10はスキル成長促進に統合されました。

細胞分裂レベル10はスキル成長促進に統合されました。


―――


 さー、LP変換だ!


―――


レベル50

残りLP701


―――


 残りLP量が1,000以上になったらポイントを割り振っていくか。


―――――


「マスター、あの個体肉体はマザーアメーバから分裂したものですが、精神は自然発生したものの様です。」

「やはりですか。彼女以来の自然発生ですね。それで、なぜ発生したかはわかりましたか?」

「それが、今回もこちらの情報網では何も兆候が捉えられていません。」

「そうですか・・・、なんででしょうね。ナニか私たちの力が及ばない事象が起こっているのでしょうか。」

「今の段階では何とも、もっと比較できるケースが増えれば、今後どこかのタイミングで理由が解るかもしれませんが。」

「気長にやっていくしかない・・・か。」


―――――


レベル50

残りLP1000


種族

アメーバ10

水棲アメーバレベル10

ファイターアメーバレベル10

マザーアメーバレベル10


職業

キャリアーレベル1


スキル

生活スキル

念話レベル1


眷属スキル

レベル注入レベル1


戦闘スキル

触手打レベル10

2連撃レベル10


レアスキル

成長促進


HP15/15

SP15/15

オド15/15


生命力15

筋力15

魔力10


―――


 さあ、ここから本格的に自分を育てていくぞ。

そうだな、現状でステータス上限値まで育てたら、新しい種族を取得してみるか。


―――――


 ここは箱庭世界地表部。

 この小さな世界では、湖の外側に広がる僅かな面積しか平坦な地形は存在しない。

 そんな、貴重な荒涼とした平野部にて彼ペスモルトゥムは生活している。


―――


レベル1


種族

百足レベル1

固い外骨格と節足を持つ体長5㎝程の蟲。


ペスモルトゥムレベル1

スキルクチケラ外骨格を獲得する。

スキル節足移動を獲得する。


魔物特性

魔核レベル1

地上適正

地中適正


スキル

パッシブスキル

クチケラ外骨格レベル1

キチン質の外骨格。

レベルが上がる毎に物・魔防御力が上がる。

防御力=2×スキルレベル


移動スキル

節足移動レベル1

複数の足による移動術。

レベルが上がる毎に物・魔防御力が上がる。

防御力=1×スキルレベル


ステータス

HP3/3

SP3/3

オド3/3


生命力3

筋力3

魔力3


―――


 種族でスキルクチケラ外骨格を獲得している彼らは、生まれつき体が頑丈である。しかも、節足移動のスキルからも防御量の増加が見込めるために、カウンター攻撃に適した種族で、成長すれば非常に相手にしにくい魔物となるであろうことが容易に予想できる。

 そんなポテンシャルを秘めている彼ではあるが、今はまだ生まれたばかりのひ弱な存在だ。


 戦闘システムの稼働か。確か地上部には自分たちのほかには蠅の者たちがいたな。

今後はさらに種族数が増えるだろうが、今のところでは脅威になりうるのは、そいつらだけだな。

 ふむ、レベルが上がったら戦闘スキルを憶えるか。


 魔物は魔核より経験値を自動で得ることが出来る。しかも、捕食などで外部からのエネルギー摂取をしなくても生存が可能な、完結した生命体である。

 時間が経過しレベルが上がった彼はスキル捕食レベル2とスキル噛みつきレベル3を獲得する。

 捕食についてはすでに説明をしているので割愛しよう。スキル噛みつきの効果は以下の通りだ。


―――


戦闘スキル

噛みつき

顎系戦闘スキル

自身の顎を使い貫通属性の攻撃を行う。

攻撃力=2×スキルレベル


―――


 これで、自然にレベルが上がる以外の経験値を稼ぐ手段と、攻撃手段は確保できたな。


 そんな彼の上空を飛ぶ小さな点がある。


―――

レベル2


種族

蠅レベル1

固い外骨格と1対2枚の翅を持つ体長5㎝程の蟲。


ディプテラレベル1

スキルクチケラ外骨格を獲得する。

スキル翅移動を獲得する。


魔物特性

魔核レベル1

空中適正


スキル

パッシブスキル

クチケラ外骨格レベル1


成長スキル

捕食レベル2


生活スキル

念話レベル1


移動スキル

翅移動レベル1

翅による移動術。

レベルが上がる毎に物・魔防御力が上がる。

防御力=1×スキルレベル


戦闘スキル

体当たりレベル2


ステータス

HP3/3

SP3/3

オド3/3


生命力3

筋力3

魔力3


―――


 彼はディプテラ、生まれつき持つスキルクチケラ外骨格とスキル翅移動によって、前述の百足以上の防御力を誇る蟲だ。

 さらに空中を移動しているために、その機動力は地上種とは比較にならないものである。

 優れた防御力と機動力を持つこの種族は、母様を除いた、現状の生態系のトップに位置している。


 ふん、百足、いつまでも地上を這っているがいい。こちらは母様に会いに行くから。


 ちなみに、この世界には回避という行動はシステムで計算されない。故に回避系っぽいスキル名でも防御力が上がる仕組みだ。

 儘曰く「0%と100%以外信用できないから採用しない」とのことである。

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