私の職業、旅人。を転職した理由

まさぼん

私は見た事あるよ。

 「国境線を超えました。」

 新しい国に入った様だ。窓の外の景色は、アナウンスの前と後での変化は何らない。この国に入国して、一体何か国目の外国への訪れをした事になるのであろうか?

 1年以上前に日本を飛び出し、世界一周を目指して旅を始めた。当時はショートカットだった髪形は、今では長いおかっぱ頭になっている。安宿ばかりに泊まっているからバスタブにはられた湯に浸かって身体を洗う事も少ない。狭いシャワールームにコインを入れて数分間だけ出てくるシャワーのぬるま湯で急いで髪を洗い身体を洗う。シャワーのお湯が止まるのはいつだ?そろそろ止まるか?と焦りながら急いで洗う。それでも、身体についた石鹸の泡と髪につけたリンスを流し終える前に、大概シャワーの噴射は止まってしまう。フェイスタオルで無情に洗いきれていない身体と髪を拭く。そんなだから、旅を始めた当時、サラサラと風になびかせていたショートの髪は後ろでヘアゴムを使って一括りに結わえている。服も、ボロボロだ。

 広いアジアを通って広いヨーロッパ圏に入り、寒い北欧の国々を巡ってこの国に今入国した。入国と言っても、電車で通り過ぎただけだけれど。

「お、電車が止まった。降りよう。」

 聡子(さとこ)は、と先ほど列車内にアナウンスで流れた“国境を越えこの国に入った”と聞いて間もなく列車が止まったこの国最初の駅に降りた。

「はじめのいーっぽ。」

 新しい国。新しい国に足を踏み入れる時、聡子はいつも、はじめの一歩を唱えて地に降り立った。


「日本人ですか?」

 後ろから、女の子の声で日本語が聞こえてきた。聡子は振り向き、

「はい、日本人です。」

 と答えた。

「『はじめのいーっぽ』っていう声が聞こえたから、日本人らしき人探しちゃった。私も日本人、留学中でハワイに住んでるけれど今学校休学して旅人してるの。あなたも旅人してるの?」

 結構オシャレな首元と袖口に毛のボアがついているウインドブレーカーを羽織って、下にはジーンズを履いているその女の子は、

「この駅で降りて行く予定にしてるのは何処?」

 と続けて聡子に語り掛けてきた。

 表情が少し綻んでいるけれど笑って話している訳ではないこの子、人懐っこいこの子に対して聡子は不快感は全く覚えず、

「ううん、国境超えたってアナウンス聞いたから早く地に降りて散策して見たくなって列車降りただけなの。予定なんて何もないよ。あなたは?ここの国詳しいの?ガイドブックか地球の歩き方でも持ってる?」

 と答えた。

「あ、一緒。私も国境超えたから最初に止まったって理由だけでこの駅で降りた。えへへっ。一緒に周らない?私、里香(りか)。あなたは?」

 聡子は、

「私は聡子。宜しくね。一緒に周ろう。」

 と、旅の相棒との出会いに顔を綻ばせ、言った。


 里香は白い息を口から鼻から吐きながら、冷たい風で赤くなった頬を、手を縮めてウィンドブレーカーの腕口にある毛のボアの所をあてて擦っていた。

「寒いね。」

 里香の言葉に、聡子は、

「うん、寒い。でもそのウィンドブレーカー暖かそう。私のコートなんて、ダッフルコートだから首元、腕口寒い寒い。うぅううさっぶ。」

 と答えた。

 里香はハワイ大学に留学している学生さんで、1年間休学してユーレイルパス(ヨーロッパ鉄道パス)を使ってヨーロッパ横断の旅をしているそうだった。聡子はとりあえずユーラシア大陸横断を目標に、アジアからヨーロッパまで鉄道とバスを利用して旅をしてきていた。

「ポーランドって、可愛い街だねえ。」

 里香が、白い息を吐きながら街の景色を眺めていた。聡子もぐるりと周りを見廻した。ヨーロッパ特融の家と家が密接してくっついて建っていて、その家々の色がカラフルでおもちゃ箱の中の積み木で作られた街の様だと思った。

「ポーランドって、ポーランド語だったっけ?英語通じるかな?」

 聡子の問いかけに里香はびっくりして、

「ポーランド語、(スラヴ語)だよ…。聡子、旅はじめたてホヤホヤなの?」

 と聞いてきた。

「いや、もう1年くらい経つよ。」

 里香は、聡子のその答えに更に驚き、

「英語は…喋れるんだよね?」

 と尋ねてきた。

「いや、ほとんど話せない。」


「…。」

 里香の返事が返ってこないから、再度言った。

「英語は、『感』だよ感。感で聞きとってる。話したい時、伝えたい時は、ジェスチャーで伝えてるよ。あ、あと英単語も少しは使う。」

 里香は、

「…よくここまでこれたね。すごいチャレンジャーだわぁ。」

 と、感心していた。


 それで、ポーランドはスラヴ語派のポーランド語が言語で、他に通じる言語は近隣国のロシア語やドイツ語を話すくらいだそうだ。英語は学校で習うので、日常会話程度なら通じるらしい。

 まあ、英語もスラヴ語もロシア語もドイツ語も話せない聡子にしてみれば、どの国でも言葉の壁にはぶつかるものだからポーランド語がどうのこうのという事はない。どの国に行っても言葉に関しては、必要最低限の事、宿の確保だとか食事のオーダーは出来るものだし、安宿で一緒になった異国の旅人との会話も感で交わして仲良く出来てきていたので、何も躊躇するところは無かった。


 里香は、ハワイ大学に通っているだけあって、英語はペラペラ。大概の国で、英語は義務教育時代から必須課程で授業を受けて学んでいるから、若者相手なら英語で会話できる、と言語の壁については英語をコミュニケーションツールにして乗り越えて来たそうだ。


 2人はポーランドを出国してからも、暫く一緒に旅した。

 聡子の英語力のレベルの低さに驚き、『いつか危ない目に合う』と、里香は見ていられなくなり共に旅してあげることにしたのであった。里香のそんな思いやりのある優しさ故に一緒に旅回りをしてくれているのだとは聡子は全く気付くことなかった。国を後にする時も、入る時も、列車に乗り列車から降り、ずんずんずんずん世界の片隅の街々を歩いて行った。


 とある国のとある駅で降りて、何やら拡声器でワイワイガヤガヤと騒ぐ声が聞こえてきたので、2人はカーニバルがやっているんだろうと声の聞こえる方向へと向かって歩いた。

「これ、日本語だよね?」

「だよね、なんで日本語がベルギーで流れているんだろう?このフェンスの中に入るのお金いるかもしれないけど入ってみようよ。行こ。」

「うん、そうだね。行こ。入ろう。」


 ニューシネマパラダイスという映画に出てくる広場の様な所の隣に、高いフェンスで囲われた会場があった。フェンス沿いを歩いても歩いても、入り口には辿り着けず、諦めかけた頃、ようやく入り口に辿り着いた。

 確かに、声の発していた言語は日本語だった。パンクバンドの演奏だった。歌詞が日本語だった。聡子はえらくお気に召してしまった。里香は、真逆で、『日本の恥』というくらい気に入らなかった。

「出よ。こんな街にいたら日本人の私たち誤解されちゃう。」

 里香の声に、聡子は、

「え~、私、最後まで聴いて行くよ。」

 と言い、2人の道ずれ旅はこのライブ会場で終わった。



 1人になった聡子は、ライブが終わると会場を後にし、ホテルを探した。もう夜の9時過ぎになっている。駅に戻り、インフォメーションでユースホステルの場所を教えてもらおうと、

「アイ ウォント ゴー トゥー ユースホテル」

 と言った。何やら長々と説明を英語でしてくれたが、

「クローズ」

 という単語しか分かった言葉が無かった。“冬季は休業している”って事であろうと、聡子は感で説明の内容を解釈した。

「チープ ホテル」

 と、聡子は言って、安宿の場所を教えてもらった。ホテルに着くと、結構立派な建物で、

「これ、ホントに安いホテルなのかな?里香がいたら心強かったんだけどなあ。」

 と短い間だが相棒であり親友であった里香の事を思った。財布は寒い。中に入っているユーロ札と小銭は日本円に換算すると2万円強しか残っていない。

 ―「旅の途中で稼げる方法無いかな?歌でも歌ったら帽子の中に小銭入れてもらえるかな?ああ、でも歌はアカペラでは無理だねえ、ギターとか持ってないと無理だねぇ。ただの酔っ払いだと勘違いされておしまいだ。靴磨き、うーん道具持ってないから出来ない、皿洗い、ん?どこかの店で皿洗いをさせてもらおう!」

 そんな事を考えながら、ホテルに入ろうとしたら、呼び止められた。

「君、日本人?ライブのインタビュー受けてくれない?聴いてなくても聴いてた事にして、僕の質問に適当に答えてくれればいいだけだから、ちょっとだけ時間ちょうだい。」

 テレビカメラをこちらに向けられ、声をかけてきた男の人がマイクを持って話し始めた。


「こちら、ベルギーで日本のパンクバンド『ポーツマス』のライブが行われました。日本からはるばるライブを聴きにやってきた熱狂的ファンの方へのインタビューです。今日のポーツマスのライブは如何でしたか?」

 聡子は、いきなりさっき聴いただけのバンド名も知らなかったバンドの熱狂的ファンにされてしまった。聡子はノリのいい子だ。すかさず、

「めっちゃカッコ良かったです!ベルギーで聴くと日本で聴いてたのとは一味違った感じがしました。ポーツマス最高!」

「以上、ベルギーよりインタビューをお届けしました。」


「…やりすぎコメントでしたか?」

 聡子が、ちょっと調子に乗り過ぎたかなと思ってインタビュアーの男性に恐る恐る聞いた。

「ばっちりだよ!ありがとう。助かったあ。それより君、ベルギーで学生さんでもしてるの?」

 インタビュアーの男性は嬉しそうにしていた。

「いえ、学生ではないです。ぷー太郎です。世界一周目指して旅してます。その通過地点にいるだけです。」

 インタビュアーの男性は、

「僕もバックパッカーやってた時期あるから君の気持ちわかるよ。ぷー太郎じゃない、旅人って言った方がいい。僕がバックパックした経験からアドバイスさせてもらうとね、アジアを密に横断するか、日本を横断する旅をした方がいいよ。」

 聡子は、

「アジアは通ってきました。ユーラシア大陸横断をとりあえず目指して中国からモンゴル、ロシア。と通ってきました。」

 と自慢げに話した。


「違う違う。アジア。アジア横断。東の日本から、東南アジア超えて、インド大陸を横切る。そして西アジアの砂漠を横断して西のトルコはイスタンブールまで行く。って具合だよ。インドは凄いよ、空港に着いただけで『苦手』って思うか『良いねえ!』って思うかはっきり分かれるけど。いいよ。それでね、ヒッピー・ロードっていってね、ロンドンからカトマンズにかけて『マジック・バス』っていう車に欧米人のヒッピーを何人か詰め込んで乗せて、何日もかけて走るツアーが1950年代頃からあったんだよ。それを題材にした小説も沢山でてる。ベルギーでその本を買って読むことが出来ないのが残念だな。あっ!そうだ。『猿岩石』知ってるよね?有吉の。昔、黄金伝説で旅した猿岩石。沢木耕太郎っていう小説家が書いた『深夜特急』(新潮文庫)のルートを真似た企画の旅だったんだよ。ここからイスタンブールまで戻って、旅の帰路はアジア横断して行くと楽しいと思う。お勧めするよ。」

 インタビュアーの男性の提案に、大いに心を惹かれた聡子であったが、

「有吉は知ってますけど、猿岩石って何ですか?バンド?」

 と、ジェネレーションギャップを感じさせる事を述べた。その後続けて、

「お金が、底をつきてるんです。旅人が旅の途中でお金を稼げる方法を何か知ってますか?」

 聡子は、今現在置かれている切実な状況の解決策の答えをインタビュアーに求めた。

「う~ん、女の子だからベビーシッターやったら?それか、身体を売る。」

 インタビュアーの答えを聞いて、きつく、

「嫌です、身体売ってする旅なんてしたくありません。聞いた私がバカだった。それじゃ、サヨナラ。」

 と言い、その場から立ち去った。


 ―「気に入らない!気に入らない!足元見られた。弱み見せるんじゃなかった!気に入らない!」

 聡子は、ホテルの中へ入るのを止め、野宿できる場所を探して広場があった場所へと向かって速足で歩いた。


 広場に着いて、手ごろな野宿しても大丈夫そうな建物の軒下を探した。住居ではなさそうで軒下で寝転がっていても人様の邪魔にならず、尚且つ安全に眠れそうな場所を探した。広場に立っている道案内の看板が目に入る。何語?何語で書かれているんだ?英語ではない。

 ―「ああ、博識な里香がいてくれたら…。」

 と、看板にやった目をまた建物へと戻し軒下の安らげる場所を探した。2万円強で旅を終えるまでやっていくんだ、と意固地に思って手ごろな建物を見つけ、軒下に寝転がった。

 空を見上げると、今にも雨が降り出しそうな雲が空を埋め尽くしていた。

 ―「雨が降ったら丁度いい。髪を洗おう。天然シャワーだ。神の恵みだ。」

 ここまで来たら開き直るしかない。開き直って聡子はそこに寝転がって空を見つめ続けた。あくびがでる。生あくびだ。こんなゴツゴツした地面をベッドにして眠るのは初めての経験となる。

「ふわあぁ~。」

 大あくびが出た。眠ろう。聡子は目を閉じた。


 ベルギーにはベルギー語というものが存在しない。南北でオランダ語とフランス語を話す人がわかれている。今、聡子が眠っているブリュッセルは、特に言語紛争が起こっている地域である。看板に書かれていた文字はオランダ語表記とフランス語表記の両方で書かれていた道案内標識である。この、ベルギーの首都ブリュッセルに住む市民の大半はフランス語しか話せない。けれども、ブリュッセルで仕事する人々は、周囲を取り巻くオランダ語を話す地域に住むオランダ語・フランス語・英語を話せる人々で、仕事を奪われている。周囲の街、オランダ語を話す地域の公園には『オランダ語を理解できない子供は入るべからず』といった看板が立てられている程だ。聡子がその様な公園を寝床としなかったのは、本当に不幸中の幸いである。そんな国の事情等梅雨知らず人々が囁き合う声で目を覚ました。囁き合ってた人々の視線は聡子に注がれている。身体を起こす。あちこちが痛い。ゆっくりと体勢を整え起き上がる。人々が、

「おぉぉお~…。」

 と、身を引きながら怖い物でも見たかの様な目で聡子の事を見ている。何かこの建物の中でトラブルでも起こったのか?と聡子は呑気に思って人々の視線が注がれている自分を通り越した後ろに振り返って、そこにあった扉を見た。特に変わった様子は見受けられなかった。まさか、その建物がオフィスが多数入っている雑居ビルで、その入り口の前に聡子が眠って塞いでいたので会社員たちが中に入れず、

「浮浪者かしら?」

「若い女の子に見えない?」

「いやあ、若い女の子はこんなところで寝ないわ。不審者よ。」

「警察呼ぶ?」

「恨まれると怖いから、私は呼ばないわ。呼ぶならあなたが呼びなさいよ。」

「私だって逆恨みされるのは嫌よ。」

「で、何者?何者なのかしら?」

「おじいさんかもしれないわ。浮浪者よ。」

「そうね、起きてどこかに行くのを待ちましょう。」

 等と、囁き話されているとは聡子は思ってもみなかった。枕にしていた貴重品、といっても2万円強のユーロしか持っていないが、それが入ったリュックを起こした身体に背負い立ち上がった。そして、人々をかき分けて、何事もなかったかのように駅に向かって歩き出した。


 不思議な夢を見ていた事を想い出した。

 細い川辺を挟んで立つ白い家、屋根は水色。霧がかかった視界の中で、そんな綺麗な景色を見ていた。小さなカメラのモニター越しにその景色を見せてもらっていた。

 聡子がここまでくる道中、眺めた美しい景色は多種多様で、どれも息を飲む美しさであった。ため息が漏れるくらい神秘的で美しい景色をたくさん見てきた。けれども、夢の中で見た景色は、それらとは全く違ったもっと直観に響いてくる景色だった。小さなカメラのモニター越しであったのにも関わらず、だ。

 そのモニターを見せてくれたのは日本人のカメラマンの女性で、こんな事を言っていた。

 「ここは芸者街で、一般の人は入れないのよ。こういう所に入れる実力を持ったカメラマンは自分で誰もが知るレベルの芸能人に自分から仕事を持って行って旅番組の撮影をするのよ。」

 ブリュッセルの街を後にし、列車の中に入ってもその夢で聴いた言葉が耳の中でこだまして響いていた。


 聡子は、

 ―「日本に帰ろう。当てもなくただ彷徨う様に国から別の国、そしてまた別の国へと移動しているだけじゃん、今の私がしていることは。若い女が野宿までして、身体売れば?なんてことまで言われて、でも今の私じゃあ、そんな待遇しか受けられない。世界一周が何様だっていうんだ。職業、旅人じゃなくて世界を周るカメラマンになって出直して来てやる。その時こそ、ホントの世界一周をする。勉強してカメラマンになって一流の景色を一流の観点からレンズ越しに眺めて記憶にだけじゃなく記録にも残す。そして、それを自分だけのものにするんじゃなくて、視聴者に届ける。決めた!」







     ―

 5年後。

 

 聡子は専門学校のメディアコースに入学し、映像クリエーターの勉強をして卒業した。その後、映像制作会社に就職をして旅番組のカメラマンのアシスタントとして働いた。撮影技術だけでなく照明や音声、映像の編集の仕事を熟した。国外へはまだ飛び出していない。

 今日は、北海道での撮影だ。実際に撮影するカメラマンにはまだ手が届いていない。なれていない。荷物運びやライティングが主な仕事内容。ロケバスが止まる。外に出ると、北海道のそこは寒くて空気が澄んでいた。カメラマンが同行させたスタッフはいつもより人数が少ない。カメラマン含め3人で歩いて川辺まで来た。霧がかかってきた。憧れている大尊敬している先輩カメラマンの女性が言う。

「ここは芸者街だから、一般の人は入れない所。こういう所を撮影できるようになったら自分から芸能人に仕事を持って行って依頼できる。」

 カメラマンが撮影している景色を聡子はモニター越しにチェックしていた。

「あ!正夢だ。」


 大きな声で、そう口に出してしまった。良い雰囲気をぶち壊してしまったかと思って、

「すみません!」

 と、謝った。

 女性カメラマンは、

「ああ、そう。正夢で見たんだ。正夢ねぇ…。私、正夢って願望の表れが妄想か何かで見える物だと思うけど、いいんじゃない?正夢。記念にカメラ回してみる?」

「はい!ありがとうございます!」

 聡子は、カメラマンとしてデビューした。世界一周しながらカメラに景色をおさめて色んな人に見せる日がやってくるのも遠くない未来にやってくるであろう。

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