第130話 松島で話す本音。

 私はこれから直紀さんと共に松島に入る事にした。

 そして松島に入った後、これから直紀さんはしっかりと話そうと思い、これから彼に理由を聞いてみようと思った。


「ねぇ。直紀さん。どうして塩釜とか言って非常に怖い顔をしていたの?」


 彼がどうして宮城に行って怖い顔をしているのかわからない。

 けど、私は彼がどうして宮城に対して凄く恐怖を感じるのか本音が知りたい。

 だからこそ、私はこの町で何が起きたのかしっかりと聞き出してみる事にした。


「ごっ。ごめん。絵理奈ちゃん。俺が宮城に行くのを嫌だったのは俺が震災の際にロシア料理を提供した際に、辺に調味料をかけてアメリカナイズ的な料理にされた事が非常に嫌だったんだ。」


「アメリカナイズ的な料理?確かにアメリカ料理は濃い傾向があるが。」


 彼が普段作っているロシア料理はどちらかといえば薄口に近く、ボルシチ等を見ても明らかにそうだ。

 それを調味料がかけられて食べられる状況は確かに彼は非常に嫌な思いをするのは何となくわかってきた。


 確かに、私はアメリカ料理の味が濃く非常にまずい状況があるとは思っていたが、それを抜きにしてもどうして直紀さんが宮城に来るのを非常に嫌がったのはそういう側面があると感じたから行くのを拒んだのだと改めて感じてきた。

 質より量的な料理のやり方が直紀さんにとってはあまり歓迎したくない状況があるのは非常に分かる気もした。


 そういえば、確かに東京や大阪などに比べるとロシア料理が非常に少ない事は町を見渡しても見ても実感できる。

 恐らく、この宮城の味付けが極めてアメリカ的な料理の味付けなのは例のずんだシェイクから見てもなるほどなと理解した。


 故に、あのずんだシェイクの異様な甘さを考えると間違いなく薄味志向の強いロシア料理が食べれなくなる可能性があると感じてきた。

 つまり、調味料の味に依存して素材そのものの味が味わえなくなると。

 そう考えると、宮城に必要なのは実は食育じゃないかと改めて感じた。


 つまり、宮城や仙台こそ食育が必要なの理由はあのずんだシェイクを味わっても明白だ。

 だが、それをやろうとした直紀さんがどうしてあそこまで宮城や仙台を嫌がるのかわからなかったのでそれについて聞きだそうとした。


「で、直紀さんは宮城や福島で食育してどういう状況だった?」


「そうだね。絵理奈ちゃん。詳しい事情を教えてあげるよ。」


「ですね。直紀さん。」


 私と直紀さんだけの話ができる状況を利用してこれから宮城の食育についてしっかりと聞き出そうと思った。


「絵理奈ちゃん。宮城や福島は単に味が濃いだけで砂糖や塩をふんだんに使った料理を作る傾向があり、それが俺が実際に味わっても危ないと感じる位だ。」


「うん。それは分かるよ。やはり、ずんだシェイクを飲んでも変に甘みが強い傾向があるからそういう風潮はあるから味わっただけで非常に良くないのは分かる気がするよ。」


 私もずんだシェイクの味はなんか美味しさよりも辺に甘さが強く現れる状況だと思いながら、この味は本当に大丈夫なのかと非常に不安だった。

 だから、直紀さんの話を聞いて非常に納得できる。

 ゆえに、彼の話の続きを聴こうと思った。


「成程。だから俺は、彼らに食育して薄味の料理を作ったのだが、彼らはまるでそれで満足せず、調味料をふんだんに使って俺のロシア料理が非常にずたずたにされたんだよ。」


「それは酷いね。」


 確かに直紀さんの味は素材を生かしながら薄味を中心に使うので宮城県のあのずんだシェイクの味を比較すると確かに価値観が違うのが分かる。

 だから、私は彼の話を聞いて宮城や仙台の食育の必要性が成程な、と実感できた。

 そしてこれが直紀さんにとって宮城や仙台が非常に恐怖の場所だと思うと私も凄く同意する分があると感じた。

 そして彼の話を更に聞こうとした。


「で、俺が彼らを食育したけど、彼らは全然、聞いてくれなかった。まるで味の濃い料理や調味料の強い味ばかり求める姿は何か異様さを感じ、それに異を唱えれば排除される怖さを感じたんだよ。」


「そういう事ね。つまり、宮城の問題が何となくわかってきた気がするよ。」


 調味料に依存すると間違いなく味覚音痴になる。

 だから、直紀さんが宮城や仙台は水の問題を含め、食育の大事性が非常に大事だと実感するのも分かる気がした。

 それなのに彼らが何故、彼の意見を聞かなかったのか、非常に疑問視していた。

 もしかするとこれは宮城や仙台の問題も絡んでいるかもしれないと私は確信した。


 実際、山形の蕎麦や岩手の料理は凄くおいしかったし、素材の味が生かされていた。

 そういう問題を考えると宮城の問題は何か別の問題が潜んでいると改めて感じた。

 だから私は彼に手助けしようと思った。

 

「ねぇ。直紀さん。」


「どうした。絵理奈ちゃん。」


「岩手の料理や山形の料理は凄く良かったでしょ。」


「あぁ、宮城や山形の料理は非常に良かったし、蕎麦や果物食べて凄くおいしかった。けど、宮城だけは変においしくなかったし、食育しても聞いてくれなかった。そういう問題を考えるともしかすると宮城のそういう姿勢が復興を阻害しているような印象があるかもしれないと思うよ。」


「ですね。ましてや、宮城のそういう姿勢が多くの問題と復興の遅さが露わにされたし、仙台一極集中がそういう傾向を強く表していると思う気がするけどね。」


 彼が宮城や仙台を怖がる理由は間違いなく仙台一極集中により住民のプライドが高くなったことが特に仙台近郊で大きいと感じた。

 故に、私は宮城で異様に怖がっているは背景にはやはり何か宮城県や仙台市民特有のプライドの高さが何かあるだと思いつつ、私はそれについてしっかりと考える必要があると感じた。


「ねぇ。直紀さん。もしかして仙台の排他性というのはやはり、変なプライドが影響しているんじゃないかと思う気がするけどどうかな?」


「あぁ、確かにそれはあるよ。仙台の街づくりが上手くいっていないのもそれが大きい。なぜなら、仙台は東北の中心だと思っている人が多いからな。」


「だね。でも、それでなんで変なプライドを取るのか非常に理解不能な気がする。」


「だろ。岩手や山形はむしろそんなプライドがなく、排他性もあまりなかったからそういう意味でも宮城や仙台の排他性は一般的な田舎とは別の意味で排他性が強いと思う。」


「ですね。」


 その話を聞いて宮城の問題の核心が見えたと感じた。

 だから、直紀さんが本音を話した影響で宮城と仙台が何故、ここまで排他的な理由がはっきりしてきたと思う。

 やはり宮城県が仙台一極集中構造体制が非常に大きいと感じる。

 そして宮城の問題が非常に大きくなっている状況を考えるとやはりこういう風土が今の県知事の暴走に繋がると改めて感じた。

 やっぱり、宮城県民はしっかりとモノを言わないとやばいなと思う。


 秋田や岩手は選挙を介してモノを言った訳だし、それがイージス艦阻止や復興の早さを進めた影響が大きいからその影響をしっかりと感じないといけないと改めて感じ、これから私ができる事はやろうと思った。

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