第51話 少女はネバネバカレーを作る

 私は今日、熱い夏を凌ぐ為に納豆、オクラ、自然薯じねんじょ、そしてジョイカレースパイシーブレンド、更に七味唐辛子でこれから柚弦ゆずる達の夕飯を作る準備をしていた。


柚弦ゆずる。このネバネバカレーがどれだけ夏を凌げるか分かるよね?」


「うん、ネバネバしているものは粘膜を保護する役割を持つし、身体の炎症を防ぐ役割があるあるからだろ。」


「ふふっ。柚弦ゆずるったら面白い答えを出すね。でも、やっぱり弟だからそれで良いんだけどね。」


「まったく、お姉ちゃんは自分自身の身体が墓守女子だからといって凄く自身過剰になっているな。でも、そうやって腹をくくると熱中症になって、倒れ込むかもな。」


「どういう事なの?」


「姉ちゃん。墓守女子は癌や細胞の病気にはならないし、死や老い、閉経も来ないが生理痛や熱中症とかは普通に来るし、倒れたら仮死状態になる事もしばしある。でも、死なないだけまだ良いと思わないといけないよ。」


「そうなんだ。でも、やっぱり私の身体を大事にしたい思いが柚弦にもあるんだと思うと私は嬉しいな。」


「うん。そうだね。」


 私と柚弦ゆずるはふざけ合いながらも墓守女子の内容を話して互いに生きる必要性がどこまであるのかやはり感じ取る必要があると実感した。


 すると…


 ピンポーン!!


柚弦ゆずる。少し待っててね。」


「うん!!」


 私は柚弦ゆずるをここに待たせてこれからドアを開いて誰か来ているのか確認した。


 すると…、


「エリぽん。こんにちは。」


彩海あやみ。こんにちは。」


絵里奈えりな。どうも。」


雅日みやび君。おはよう。」


 私は雅日みやび君と彩海あやみが来たことで少し安心した。


「じゃぁ、雅日みやび君。彩海あやみ。少し、柚弦ゆずると共にネバネバカレーを手伝ってくれない。」


「うん。良いよ。」


「あぁ、俺も姉ちゃんがバリキャリだから料理を作らなければいけないからな。でも丁度、料理の手伝いをするから俺も混ぜてくれないか。」


「うん。」


 私は料理を作ろうと思い、これからネバネバカレーを作る準備をした。


絵里奈えりな自然薯じねんじょを切る際には泥を落として、皮を半分だけ切るんだ。」


雅日みやび君。どうして?」


「全部、切ってしまうと自然薯じねんじょを削ずる際、手が被れる恐れがあるからだ。」


「そうなんだ。そんな事があると私も知らなかった。」


「へへっ。そうだろ。でも、自然薯じねんじょ大和芋やまといもなどは、手が被れる恐れがあるから、少し残した方が良いんだ。」


「ふ~ん。中々だね。雅日みやび君。」


「ふふっ。で、皮の少し手前まで削り残りの皮も切ってサイコロ上に残しておくと良いぞ。」


「は~い。ありがとう。雅日みやび君。」


 私は雅日みやび君の指導通り、自然薯じねんじょを調理した。

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 その頃、彩海あやみ柚弦ゆずるは…、


柚弦ゆずる。オクラはヘタを取って、切るんだよ。」


「了解。彩海あやみはオクラの料理については歩奈ふなさんから教えてもらったか?」


「うん、教えてもらったよ。彼女は創作寿司も制作しているからその際に、オクラや大和芋やまといもも調理しているの?」


「へぇ~。」


 意外と柚弦ゆずるも彼女の教えで調理をすんなり進ませてもらっている事に驚き、私はこれで後は、カレーの準備をするだけにしていた。

**********

 それから水と赤ワイン、更にはチャツネを用意してこれからカレー調理に移行する準備を整えた。

 今回は水がない上、自然薯じねんじょや納豆は調理するとネバネバ間を失うので先にオクラだけ炒め、それから水を入れて、自然薯じねんじょ(固形)を入れた。


 当然、灰汁あく取りシートは必然だったのでソレを上に伏せた。


 それからジョイカレースパイシーブレンドとチョコレート、七味唐辛子を入れて、カレー状になってから納豆と自然薯じねんじょ(液体)を投入し、ぐつぐつ煮込むまで炒めた。


 幸い、ネバネバカレーなので肉を投入する必要がなかったので調理はすんなり進み、ネバネバカレーが完成した。

**************

「これがネバネバカレーなの?」


「あぁ、ネバネバカレーだ。」


 私達はそのカレーを食べたい意思が出た為か、唾液を飲むようにゴクリとした。

***************

 そしてネバネバカレーライスを用意した後、私達はネバネバカレーを食べた。


 すると…、


「うまい。辛みがあるのに、それを和らげる力があって、粘膜を護る様に絡みを味わえる。まるで地獄を解放させない痛みを作る様で凄く嬉しい。」


「あぁ、そうだな。彩海あやみ。俺もこのカレーは美味しいよ。」


「うん。雅日みやび君も彩海あやみも楽しんでいて良かったよ。」


「姉ちゃんのお腹の中にカレーが埋まってそれがお墓の土になるのは良いかもね。」


柚弦ゆずる…。後で何をするか分かっているよね。」


「うっ。うん。ごめん…。」


 こうして私達は楽しみながらネバネバカレーを頂いきながら今を楽しんだ。

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