【赤い糸と黒い鎖 Ep.2】
…。少女は、いつも黙って下を向いていた。どれだけ凶暴なのだと思わせるように、両手両足に鎖がつけられ、その鎖は壁に接合されていた。故に、少女はずっと宙ぶらりんである。手足はかぶれ、鉄とくっついてある部分が赤く腫れ上がっているが、少女は痛いとも言わず、牢番も何もしない。見る限り、自由時間、刑務作業、食事の時さえも牢に閉じ込められたままだった。
(あれじゃ…拷問だよな…)
俺はいつも心配していた。見ていてとてもいいものじゃない。でも、それでも彼女の過去にはとても興味があった。なぜ、この年で犯罪を犯したのか。なぜ、鎖で繋がれるほどの驚異になったのか。なぜ、人を殺したのか。俺はとても気になっていた。
そんな次の日、牢の中で暇つぶしをしていた時だった。ふと目を前に向けると、少女がこちらを向いていた。突然の視線に驚き、大学受験の当日くらいに心臓がどくどくしている。胸に手を当て、冷静になり、そして、檻の近くへと足を動かす。そして、少女へと声をかける。
「…えっと…、どうした…?」
予想以上に小さな声で話してしまった。が、少女はやつれた身体を少し揺らし、俺に口を動かす。
「お……った…」
俺のさっきの声より小さい声で少女が話すが、聞こえなかった。俺はもう一回言うように声をかけると、
「お腹…減った…」
と、言った。行った後に、ぎゅるるると胃袋の鳴る音が聞こえる。こんな拷問みたいな捉え方をして牢番は何がしたいんだと苛立ちを覚えるほどだった。
「悪い…あいにく…今は食べるもの持ってないんだ…ごめんな…」
少女はふるふると首を横に振って大丈夫という合図をくれた。いやいやいや。絶対大丈夫じゃないでしょ…という顔を俺はした。心配そうな顔をした俺に少女はふるふると前髪をどかし、そして大丈夫ですと笑顔を見せた。俺は少女の顔を見て、やつれてはいるもののとても可愛かった。こんな少女が捕まるなんてありえない。何かの間違いだろう…そう思った。でも、そんな思いを打ち消すかのように彼女は次の瞬間、俺に小さな声でこういった。
「あと…一人だったのに…私の復讐は…もうすぐで…」
彼女は右手を握りしめた。右手からは、赤い液体が滴っていた。
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