第2話 「ジャガ」あくジャガわ龍之介
ジャガーの身体と云えば、ジャングルちほーで知らぬ者はいない。
顔がでかくて、首が太くて、脚が短くて、ちょっとずんぐりむっくりな感じする、頑丈な体をしてるのがジャガーです。←女の子やぞ
木にも登らなあかんし、水にも入らなあかんし、どこでも、こう、狩りしたりできるような体になってるんで。
ヒョウの模様は丸っこい輪っかが体に散らばってますやんか。
その丸っこい輪っかの中にさらに点々があるのがジャガーの模様です。
ジャガーはここしばらく、この身体を内心気に病んでいた。
前はそこまでは気にならなかったのであるが、最近ニコニコちほーにジャガーマンシリーズというものが登場して、あちこちでこのように紹介して回るものだから、女の子やぞとフォローしてくれる者もいるとはいえ、あまり心地よいものではなかった。
そしてその声はすでにジャガーの知らぬ所まで広がってた。
他のちほーからやってきてジャガーの渡しを利用したものたちが、そのことを乗る度に口にするのである。
しかもそれらのフレンズの中に、自分ほどずんぐりむっくりしたフレンズは見当たらなかった。
あ、そうだ。
アース襟巻香すき。
急に空に飛ぶとこすき。
ふあぁ〜、びっくりしたぁ〜。
勿論表面では、今ではさほど気にならないというようなすました顔をして、川の上では渡しを、陸の上では右手の拳を空に掲げたり、他のフレンズの頼みをいいよ、と言って受け入れたりして過ごしている。←ここすき
自分がそれを後頭部を掻きたくなるほど気にしているのを見せるのも、また心地よいものではなかったからである。
しかし日常の会話の中でも、何処かで「顔がでかい」とか「ずんぐりむっくり」とか出てくるのを恐れていた。
ジャガーが他のフレンズと話しながら若干ゃ腹を見つめて、らしくもなく顔を赤らめていたのは、←ここもすき
このことへの不快に動かされた所為である。
ジャガーの自尊心は川の渡しで役立っているという結果的なことよりも遥かにデリケイトに出来ていたのでありますやんか。
合作2時間超えるらしいね。
全部見る時間が取れるか分からないです。
でも見たい。
ジャガーはフレンズが来ていない時に水面に顔を映し、その顔が出来るだけ小さく見えるよう角度を変えてみようとした。
頬杖をついたり、顎の下に指を当てたりして、何とか相対的に顔が小さく見えないか試してみたりした。
しかし満足のいく角度が決まったことは一度たりともない。
むしろ見るたびに自分の顔が大きくなっているような気さえする。
ジャガーがこう云う消極的な苦心をしながらも、一方ではまた、積極的に顔が小さくなって、ずんぐりむっくりではなくなる方法を試みた事は、わざわざここに云うまでもない。
ジャガーはこの方面でもほとんど出来るだけの事をした。
しかし先の紹介にあった身体は、一寸たりとも変化することなくそこにあったのである。
どうしたらいいか、全然わからん!
ジャガーは内心と外見の乖離に進退窮まって、とあるフレンズに相談に行くことした。
この島の長である。
ジャガーは住処の近くに使っている木の板を止め、そこに小石でバツの字を作っておき、ジャパリまんをある限り持って旅に出た。
長い長い旅路であった。
川上へ上に聳え立つ崖の下を通り抜けると、木の家のある湖へとたどり着く。
そこから平和な平原を抜けて、ジャングルではないが森をくぐり抜けると、壁に巨大な穴があり、その中に木が生えている、という奇妙な建物を見つけた。
それがこの島の長がいる場所、ジャパリ図書館である。
アンインノカケラ、まじで良MAD
建物に入ると、長とその助手はジャガーの前に舞い降りた。
事情を言う前に、
「もう分かっているのです。我々は賢いので。」
「賢いので。」
そう言われてしまってはどうしようもない。
「我々はここにある本の中で、お前にとって一番良いと思われるものをすでに見つけてあるのです。」
長である博士は目の前に本を差し出した。
「これはヒトが自らを磨くために行う、だいえっと、というものについて書いてある本なのです。
これの通りにすれば、少なくともましになるとは思うのです。」
「まずは顔から何とかするのです。
この本にはぱっく、なるもので小顔になれると書いてありますが、ここはあったかいタオルで代用するのです。」
「あとは足を細くして足を長く見せ、さらに身体を細くするのです。
このためには何日かここに居てもらわなくてはならないのです。
やるですか?」
「やらないですか?」
ジャガーの心は決まっていた。
「やろう!」
ハカセまんと助手まんうまそう。
こうして日々が流れ、博士から与えられた幾多の苦難を乗り越えて、ジャガーの姿は見違えるようになっていた。
顔がでかいと言われることはないだろうし、もうずんぐりむっくりと言われることもないだろう。←こんな感じのジャガーさんもすき
水場で自分の顔を見たジャガーは思わず叫んだ。
「すごいね、まほうみたい!」
「当然なのです、この島の長なので。」
「長なので。
御代として、ちゃんとジャパリまんは帰りの分以外は置いていくのですよ。」
「いいよー!」
ジャガーはいくつかジャパリまんを持って、博士らに礼を言ってから帰途に着いた。
再び平原と山の下を超えて川を下り、ジャガーは住処へと帰ってきた。
博士たちからこれからは、これまで1日2周であった川の渡しを3周に増やした方がいいと言われた。
早速板の上の石を取り除き、川下に向かって出発する。
川を下っていると、ひとりのフレンズがジャングルから飛び出してきた。
こちらにはまだ気づいてないようなので、こちらから声を掛ける。
「カワウソ。」
「ん……?」
カワウソがこちらを向いたのはいいのだが、何か納得いかないかのような顔をして、らしくもなく顔をしかめている。
「ほんとにジャガー?」
「そうよぉ。」
「随分……変わっちゃったねぇ。」
「でしょぉ。」
結局その日、カワウソは乗り込んで来なかった。
その後数日、博士たちに言われた通りにしていたが、ジャングルちほーのフレンズから避けられるようになった。
目を合わせようとすると、それから逸らしてくるのである。
3周回るために引き止めることもできず、そうなれば渡しに乗り込むフレンズもいなくなる。
3周回っても乗り込んでくるフレンズがいないのなら、終わった後岸辺で息を荒くする他何の利もない気さえする。
ジャガーは少し気が立ってきた。
そして温厚で優しかったはずのジャガーがそうなればなるほど、ますます渡しに乗るフレンズが減った。
無性に虚しくなったジャガーは、新しく出来た橋の板の一枚に腰掛け、足をこう……バタバタする行動をとるようになった。
ある晩、ジャガーは腹回りと首回り、そして顔にやけに熱を感じた。
何か無理があったのだろうか、とその日は渡しを2周もせずに、薬効があるとされる葉っぱを何枚か抱いて寝床についた。
翌朝目を覚まし川で顔を洗おうとすると、水面には懐かしい顔が浮かび上がっていた。
腹回りにも懐かしい感触が帰ってきていた。
これで数日の努力は無に帰したことが明らかになった。
ジャガー自身が悩んでいた身体に戻っていたのである。
しかしジャガーの心持ちは、理由は全然分からんがやけに清々しかった。
体調もいいので、ジャガーはのんびりと川を下り始めた。
途中、再びジャングルからフレンズが飛び出してきた。
今度はあちらから自分に気づいたようである。
「あ、ジャガー!」
「カワウソ……」
不安であったが、恐る恐る岸辺へと近づく。
向こうは一切その場から動こうとしなかった。
岸辺に近づいたその時、カワウソはこちらへ駆けてきた。
「ジャーガー!」
「おわっ!」
急に抱きつかれたため、思わずバランスを崩す。
2人とも揃って川の中に沈み込んだ。
「……ぷはっ。」
「ジャガー!よかったー、戻ってくれて!」
水面から浮かび上がってもカワウソは抱きついたままで、離す気配は全くない。
しかしそれは実に喜ばしく、これからはずんぐりむっくりとか顔がでかいとか言われることを気にすることはないだろう、と訳もなく確信していた。
よよよマン
ワイトもそう思う?
分かるマン
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