第2話 監禁生活1日目

ていうか、なんで俺こんなに落ち着いてんだよ。

割とまずいかもしれんが、妙な安心感を覚える、この部屋…随分前に一回来たことがある気がする。


そんなことを考えていると、ドアがガチャリと開いた。

「遅くなりました。先輩、」

そう言って入ってきたのは後輩の三井だった。


どう言うことなのかさっぱりわからず三井を凝視していると、三井は申し訳なさそうな表情を浮かべた。

「…ごめんなさい。」


…謝られてもな、こっちは喋れないんだし、

「センパイが想像以上落ち着いていて驚いてます。…猿轡外しますね、」

「お前、なんで、」

「それは、言えません。」

いつもおどおどとしている三井にしてははっきりとした物言いで、はっきりっとそう言われた。


こいつは、三井遥。確か、俺が高校2年の時よく可愛がってやった後輩だ。

俺が2年の時はよくいろんなところに遊びに誘ってやったもんだが、この頃は大学に向けての勉強だとか、部活とかであまりかまえなかった。


だから一年前ぐらいに来た三井の部屋もあまり思い出せなかったのだが。


「…一応確認だが、俺を拉致したのはお前か?」

「はい、」

即答かよ。…ちょっとぐらい否定してほしかった。

「…正確には、監禁です。」

「は?」

「えっと、だから監禁です。はい、」

うん、聞こえたし、理解できない。

「ごめんなさい。」

「謝られても困る。」

「…ごめんなさい。」

「帰してくれたりは?」

「…できません。すいません。」

…謝りながら、地味に帰宅拒否られた。

「…えっと、一応猿轡しときます。」


一応猿轡ってなんだよ。…手際良すぎだろ。

俺が少々身をひねったところですぐに前に回られてしまう。

そうして、口を塞がれる。


「先輩、ごめんなさい、でも僕は…先輩だけは僕に味方であって欲しいから。だから…、先輩。どうか今だけでも、僕の………先輩になってください。」

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