夏の思い出はコミコンと共に
12月に入ってずいぶん寒くなってきました。こちらは氷点下15度です。
氷点下15度ってどんな世界かというと、吸った息で鼻毛が凍り、誰かが落としたコーヒーが道で凍りついている、というありさまです。雪が積もってなくても道が白いからね、凍ってて。
ちょっと買い物に出かけるだけで、街の中で遭難しそうになります。今日はベランダに出て窓を外から掃除しましたが、これ何かの間違いで締め出されたら凍死する。夫が帰ってきたら、なぜか窓の外で死んでいる妻……家の中には誰もいない……。完全密室ミステリーですよ。
日本では皆さん、冬コミの追い込み時期でしょうか。しばらく日本のコミケに行っていないので、もしかしたら変わっているかもしれません。いや、たぶんそんなに変わってないはず。
で、こっちにもコミケのようなものがあります。その名もコミコン。
コミコンもオタクの祭典であることは間違いないのですが、コミケとはだいぶ違うイベントです。コミケは同人誌の即売会がメインだと思うのですが、コミコンは、同人誌だけでなくありとあらゆるものが売られます。キャラクターのグッズや、特殊メイク道具、Tシャツなどなど、とにかくそのジャンルのものなら何でもいいって感じでしょうか。
でもメインは、どちらかというと販売会ではなくスターたちのサイン会です。ハリー・ポッターやスター・ウォーズの役者さんなど、人気映画の俳優さんたちや人気コミックアーティスト達と握手ができたり、一緒に写真も撮れます。有料だけど。
ジャンルも漫画とアニメ中心、というよりは、ファンタジー、SF(こっちではSci-Fi⦅サイファイ⦆と言います)、ホラーといったジャンルの映画、TVドラマがメインで、それにアニメや漫画、ゲームって感じです。
コスプレをしている人たちもたくさんいます。でもコスプレも、スター・ウォーズやスター・トレック、アメコミのキャラクターが多いかな、やっぱり。あ、でも日本のキャラクターもコスプレで人気です。去年よく見たのは、進撃の巨人とか、ペルソナとか、ハイキューとか。
皆よく日本のアニメや漫画を知っています。NETFLIXとかHULUとかで見れるからかな。
ちなみにアメリカのコミコンのほうがカナダより断然良いらしいです。どういう風に良いかっていうと、たとえば、ハリー・ポッターの役者さんが来るとしたら、アメリカはハリー役のダニエル・ラドクリフ君、カナダはロン役のルパート・グリント君が来る感じです。わかりやすい格差です。ちなみにスター・トレックのときも、アメリカには主役のクリス・パイン、カナダにはスポック役のザッカリー・クイントが来ました。私はスポック大好きなので、そっちのほうが嬉しかったけど。いや、負け惜しみじゃないですよ、ほんとほんと。
コミコンにもコスプレイヤーがたくさんいます。コミコンの会場のすぐ目の前に大きな公園があって、そこでコスプレをしてる人たちが思い思いに寛いだり、写真を撮ったりしてます。公園は会場の外にあるので、一般人も通ります。そういう普通の人たちがスーパーマンのコスプレの人と親子で写真を撮ったり、上手なコスプレの人に「いいね」って話しかけたりします。ハロウィンとかで仮装するから、あんまり抵抗ないのかな。普通に電車にその格好で乗ってても、皆ニコニコして見てるし。
私がカナダに来て、夫(仮にジョンとします)と付き合ってから、1年ほど経ったときに、日本に帰ることになりました。ビザの都合で、1年程カナダと日本で、それぞれ別々に暮らすことになります。
長期間離れるという不安もあってか、帰国日が近づくにつれ、徐々にしんみりした雰囲気になってきました。暖かくよく晴れた日に、ジョンが「記念撮影をしに行こう」と言い出し、二人で出かけました。
着いた公園には芝生が青々し広がり、子どもが乗車できる小さな機関車も走っています。そこにはなぜかコスプレイヤーがいっぱいいました。
「え?」
疑問符でいっぱいの顔をしている私に、ジョンは当たり前のように「今日コミコンだから」と言い、どんどん公園の中を歩いていきます。
まあ、コスプレイヤーさんがいっぱいいるからって、二人で撮影できないわけではないし……と思って歩いていると、大勢のセーラームーンご一行様が。セーラームーンにタキシード仮面、マーズにマーキュリー、サターン、ようするに8時だヨ! 全員集合です。
その団体に近づいていくジョン。
「実は彼女が日本にもうすぐ帰ってしまうので……」
とその団体に話しだしました。写真の撮影を頼むのは良いけど、なぜそんな団体様に? と思っていると、
「なので、記念に彼女と一緒に写真に入って欲しいんだ」
嬉々としてカメラを構えるジョン。
お前は入らないのかよ!
そういう訳で、うちにはなぜか、私とセーラームーン達との記念写真があります。いつ見ても私の表情が微妙です。
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