ニンゲンと魔獣の境界線

宙野 実来

プロローグ

春。

 ほとんどの高校生は、今の生活を楽しいと思っているだろう。クラス替えで友達ができたり、部活でエンジョイしたりしているだろう。しかし、その楽しい日々もいつかはつまらない感じてくる。ほとんどの場合、それは一学期終了時点ぐらいのはずだ。でも、俺はその通過点を五月半ばに過ごしてしまった。俺の輝かしい高校生活は一瞬にして消えてしまった。今でも、信じられないことだった。

 そんなことを考えながら、俺は窓側の前から四番目の席を見た。この席に座っている女子がこうなった原因を引き起こしたのだ。すると、その女子と目が合って、俺はあわてて目をそらせた。

 まったく、俺は何を考えているんだ。何でよりによって、こいつは俺にかかわろうとしたのか?

 俺はため息をついて窓の外を見た。窓の外の曇り空が、まるで今の俺の気持ちを表しているようだった。

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