第4話〜大切なもの〜

 本部長さんへの報告が終わって、私たちはサクラさんの部屋に向かった。

「サクラ元気?」

「しー。」

 アスカさんがそう入って行くと、フウさんは口に人差し指を当てた。そのすぐそばのベッドで、サクラさんは寝ていた。

「あー、電池切れか。最近あんま寝れてなかったもんね、サクラ。」

「だな。まあ、フウもしっかり手繋いでるし、そこから動けないだろ?」

「よくおわかりで。」

 そう言ってフウさんは愛おしそうにサクラさんを見る。

「サクラ、最近寝れてなかったのとあいつの攻撃ですっかり弱気になっちゃって・・・。久々に聞いたよ。サクラからそばにいてほしいって。」

「そう。ま、無理もないわね。」

「うん。」

 アスカさんたちも同じようにサクラさんを見る。それくらい、大事な人なんだ。

「じゃあ、ここで少し本部長からの伝言伝えるね。」

「あ、お願い。」

 そう言って、アスカさんは椅子を出してくれた。

「とりあえず座ろう。カエデ、お茶持ってきて。」

「はいはい。」

 そう言ってカエデさんはキッチンに消えてく。サクラさんのお部屋だけど、この三人は結構自由に使ってるんだ。

「えっと、まずはこの二人のことね。二人とも一時的に本部所属の扱いになるって。あと、そらさんはサクラと同じ保護対象。」

「よろしくお願いします。」

「こちらこそ。」

 そう言って頭を下げてくれたけど、サクラさんの手を放さない。心配なのかな?

「ごめんね、サクラが挨拶出来なくて。」

「いえ、大丈夫です!」

「ありがとう。」

 そう言って優しく笑う。

「それと、この人。バド・ケッタさんも協力してくれるから、よろしく。」

「そうなんだ。よろしくお願いします。」

「よろしくお願いします。ってか、敬語いらないんで!」

「あ、分かった。」

 バドさんのフレンドリーさに、フウさんは少しびっくりしてるみたい。まあ、そうだよね。

「お茶どうぞ。」

「あ、ありがとうございます。」

 そう言ってお茶を置いてくれたのがカエデさん。身長高いし、かっこいいな。

「カエデありがとう!」

 アスカさんはそう言ってお茶を受け取る。その間、フウさんはサクラさんをずっと見ていた。

「本当に、大切なんだな〜。」

「何が?」

 ボソッと言うと、ワタルくんが反応してくれた。

「ん?フウさんがさ、ずっとサクラさんを見てるから、大切なんだなって。」

「たしかにそうだね。さっきも甘えてくるの珍しい、みたいな話してたし、甘えてもらえて嬉しかったんじゃない?」

「あ、なるほどね。」

 その後も、今後の事の打ち合わせとか、色々話してると夕飯の時間になった。

「あ、もうこんな時間!?時間が経つの早いな〜。」

「アスカが喋りすぎなんだよ。」

「えー!?カエデひど!!」

 さっきから、そんなやり取りが繰り広げられる。

「まあまあ、そんな不毛なやり取りしてないで、先にご飯にしようか。」

「そうね。あ、フウはどうする?なんなら持って来ようか?」

「ん〜・・・。」

 そう言っていると、ベッドの上で寝てるサクラさんが起きてきた。

「あ、サクラおはよう。これからご飯だけど行く?」

「ん、おはよ。ご飯行く〜。なんならお腹空いて起きた〜。」

「よし、じゃあ、行こうか!」

 そう言って、フウさんがサクラさんをベッドから降ろす。一連の流れに無駄がないな。

「あれ?なんでそらさんたちが?」

「本部長との話の報告に来てくれたんだよ。そらさんはサクラと同じ扱いになって・・・。」

 そこから要約してサクラさんに話してくれる。あの話をここまで簡単に出来るのってすごい。

「なるほど。じゃあ私、そらさんの先輩だね。」

 そう言って私に向かってサクラがフワッと笑った。この人、基本フワフワしてるのに、戦闘になるとすごいなって思う。

「はい。よろしくお願いします。」

「あはは、そんな固くならないで。同い年だと思うし、敬語はなしで、ね?」

「は、はあ・・・。」

 本当に、優しい人だな。

「よし!じゃあ、ご飯食べに行きますか!」

 そう言ってアスカさんが立ち上がる。もしかして、お腹空いてたのかな?

「やった!早く行こう!」

 そう言ってサクラさんも立ち上がる。さっきまで寝てたのが嘘みたいに元気だな。

「そら、早くしないと置いてかれるよ?」

 ワタルくんの言う通り、みんな立ち上がって部屋の外に出てた。早いな〜。

「うん、待ってね。今行く。」

 そう言って私たちも部屋の外に出た。本部ってすごく広くて、迷いそうだな・・・。

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