第3話~信じる気持ち~

 それから一週間、私たちは別の任務に出ていた。と言ってももう終わってしまったんだけど。

 本部長の配慮で私とフウくんとアスカちゃんは、チームとして動いていた。

「はい、では後はよろしくお願いします。」

 引継ぎの職員さんにそう言って、フウくんは私たちの所に戻って来た。

「ん、お疲れ様。」

 アスカちゃんはそう言ってフウくんに水筒を放った。

「ありがと、アスカ。」

「どういたしまして。」

「サクラ、疲れてない?」

「ん?大丈夫だよ。それより、ちょっとお腹空いちゃった。」

「ああ、考えてみたらお昼食べてる途中で呼ばれたんだもんね。俺もお腹減った。」

「じゃ、帰りましょうか!」

 そんな話をしている時だった。

「見つけた。」

 その一言が聞こえて振り返ろうとした時にはもうすでに体の自由を奪われた。

「サクラ!」

「カエデ、何するのよ!!」

 アスカちゃんがそう言って、やっと誰がこうしてるのか分かった。

「カ、カエデ…。」

 私の声に、カエデは少しだけ、私を見た。

「カエデ、悪いことは言わない。その子を開放するんだ。」

「残念ながらそうは行かない。」

 そう言って出てきたのはベルゼブル・マルベイだった。

「カエデ、サクラを放すなよ。」

 カエデは無言でうなずく。怖くてどうしたらいいか分からない…。フウくんがこっちに来ようとした時、アスカちゃんとフウくんを不思議な光の縄が絡みついた。

「くっそ…!」

「サクラ!!」

 ふと横を見ると、いつもの女の人がいた。あれ、そう言えば、この人の名前、知らない。

「あれならしばらく動けないはずよ。残念だわね、サクラ。」

 そう言って女の人が私の頬を撫でる。うそ、この感じ、覚えてる…。怖い…。なぜかわからないけど、この人は…この人には何かある気がする。そう思った。

 助けを求めるように、判断をもらうためにフウくんを見る。フウくんは無言で頷いた。これは、ゴーの合図。なら、私はその通りにする。たとえ怖くて仕方なかったとしても…。そう言う、約束だから。

 そんな時に、後ろから優しい声がした。

「目を閉じて、俺に体を預けろ。」

 驚いて、他の人の様子を伺いつつこっそり振り向く。そこには、なくしたはずの記憶の中にある、優しい顔があった。

「そうすれば、安全なはずだ。とにかく、今はそれでやり過ごしてくれ。」

 他の二人には聞こえない、カエデの声に、私は頷き、その通りにした。右腕にあるブレスレットの存在を確認してから。

「カエデ、準備できたから行くわよ。」

 その声の後に、抱きかかえられる感覚。きっと、この人たちの拠点に連れていかれるんだ。

 怖いけど、でも…。

「サクラ!すぐ行くから、待ってて!!」

 この声を信じて、待つしかないんだ。

 それに、カエデと話がしたい。そのためにも、こうするしかないから、頑張るんだ…。

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