4-9 結末の場所へ

――――

ここまでの解説は随分な長話だったが、激闘による教授の疲労は相当なもので、

「すまんが、私は初めて老化を悟った老人だ。」

玄武岩の岩肌に背中を預けてそう答える。

「暴走をしようがしまいが、私の魔法力もじきに底をつく。

なので、少し早いが、休ませてもらおう。

魔法少女マジカルマヂカ、あとは君次第だ。」

そう言って静かに瞳を閉じ、寝息を立てていた。

それはとても安らかで、優しい顔だった。

ただ、私はもう魔法少女じゃないんだけど・・・まぁ“些細なこと”か。



では、もう一踏ん張りといこう。

この先にいるカーバンクルをとっ捕まえて、物語は終結だ。


「こやつはワシが責任を持って運び出そう。」

「・・・。」

だから、いったいどうやって?体格差、数十倍の成人男性だよ。という疑問点を解明したい気持ちが一瞬、脳裏をよぎるが、もちろんそんな場合ではない。

「わかった。カトブレパス、あとはお願いします。」

私たちはこの先に待つ、事件の元凶、カーバンクルの元へ向かおう。

踵を地につけ回れ右。洞窟の奥、最後の敵に向かって一歩を踏み出した。

・・・が。

「あ、待て。」

「ん?」

「渡そうかどうか迷おたが、やはり渡しておこう。賢者とはいえ、お主一人ではチト心配じゃからの。」

カトブレパスは青いラベルの貼られた魔法弾(カートリッジ)を出してそう言った。弾は四発。

「予備の弾じゃ。」

「・・・・。」

さっき使った三発と合わせるとカートリッジの総数は十発。さっき放ったマジカル濃硫酸の威力から考えても、このカートリッジ一発にはかなりの魔法力が詰まっている。

「幾ら何でも、マサカ一人にこの数は多すぎない?」

さっきのカートリッジのラベルは緑色。そして、これは青。ある種の確信めいたものを持って私はカトブレパスにそう聞いた。

「十発の弾丸のうち、お主の指示の通り、緑の印、六つは小僧(マサカ)のチカラじゃが・・・

今渡した四つはマジデの籠めたものじゃ。」

・・・やっぱりね。

「はぁ〜。まったく、あのバカ。」

深いため息の後、受け取った弾丸を私はそっと握りしめた。


「カトブレパス。

帰ったらマジデに伝えて。

・・・・・・・・・・ありがとう、って。」

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