拳×剣=破!
リュート
第1話 プロローグ
「けーんけーんぱっ!」
それは、ただの微笑ましい光景だった。
五歳程度の少年が人通りのない寂しい細道で一人、けんけんぱをして遊んでいる。
友達と遊んでいるわけでもなく、親が見守っているわけでもない。本当に一人だけで遊んでいるのだ。
なによりおかしいのは、ただ丸から丸へ飛び移るだけだというのに、まるで見当違いの所へ跳んでいることだった。
まるで、慣れない体を無理やり動かしているような不自然さがある。
けれど、その表情は心底楽しそうで。
「も、もしよかったら私と遊ばない?」
だからこそ、彼女は声を掛けた。
自分のことを知らない彼と……この身に憑いている力を知らない彼と、なにも考えずに遊べたならそれはどれだけ楽しいことだろう。
ほんの少しだけでいいから、この『ツキモノ』から解放してほしい――。
彼女の小さな願いは、勇気を出して声を掛けたことで叶えられた。
しかし現実は残酷で、彼女の夢は一日と経たずに覚めることになる、
――その日、彼女は人の身には余る力を見せつけられ、その体に消えない傷を負うことになった。
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