第2話

「魔法少女ごっこするもの寄っといでー」


 今日も萌香は公園で遊ぶことにします。人気の遊びなのですぐに人は集まってきます。


「やるやる」

「あたしもー」

「楽しみー」


 公園は幼女達でわいわいとっても賑やか。

 テレビでも紹介された影響か、人数も増えてきていました。

 集まったので遊びを始めようかと思っていたら、今日は見慣れない幼女達がやってきました。


「あんたがこの町のチャンピオンか」

「うん、そうだよー」

「あたしは隣町のチャンピオンの相坂美琴だ。お前達にチーム戦を申し込む」

「チーム戦?」


 そのルールは知っていましたが、やったことはありませんでした。でも、挑戦を受けて引き下がる選択肢は萌香にはありませんでした。


「いいですよ。受けて立ちましょう!」


 と言うわけでチーム戦が始まりました。萌香は仲の良いよく知ったメンバーとチームを組み、残りには観戦させました。

 これは別にいじわるや贔屓ではなく、勝つためのチームでした。観戦席のみんなは気を悪くすることもなく応援してくれました。

 みんなの想いに答え、萌香も負けられない気持ちを強くしました。


「マジカル変身、マジカル萌香~」


 みんなそれぞれに変身を行い、敵味方に別れた魔法少女が勢ぞろいです。

 相手チームのチャンピオン美琴は不敵で挑戦的な笑みで見つめてきます。


「逃げずに来たことは褒めてあげるよ」

「すぐに分からせてあげるよ。どっちが強いかってことをさ」


 萌香も強気に言い返します。チャンピオンが弱気になっては味方の士気に影響するからです。

 お互いに睨み合い、戦いのゴングが鳴ります。


 戦場は相手チームの指定した廃工場です。

 チーム戦が初めてなら、戦場も初めての場所でした。

 でも、毎日戦っているみんなの力はよく知っていたし、チームワークもばっちりでした。

 それに何より萌香の指示が巧みでした。


「空ちゃん、A地点をマジカル爆撃して」

「おっけー」

「來未ちゃん、C地点から敵が近づいてきてるからマジカル狙撃して」

「分かったー」

「柚希ちゃんは何でもいいからマジカルに暴れて」

「あたしの指示適当すぎない!?」

「愛ちゃんは美琴ちゃんを抑えて」

「心得た」

「後はあたしがマジカルレーザーで敵をなぎ払う!」


 毎日戦っているからこそ任せられる。

 萌香チームの巧みな連携で敵は崩れていき、勝敗は決していきました。

 戦いが終わって、萌香は相手チームのチャンピオンの美琴ちゃんと握手しました。


「今日は楽しい試合をありがとう」

「あんた強いな。また戦おうぜ」

「うん、楽しみにしてるー」


 同じ遊びをするのは楽しいものです。仲間が増えればもっと楽しい。

 そんな当たり前のことを実感した日でした。

 萌香はその日も良い気分で帰宅しました。


 ブームはさらに広がっていき、やがて世界大会が開かれるまでになりました。

 萌香は日本チームの代表として、みんなに声を掛けます。

 萌香の周りにはともに遊びを戦ったみんながいます。

 かつては敵同士で戦ったこともあるけど、今では心強い仲間達です。


「さあ、世界を取りに行くよー!」


 青空の下で、戦いが始まります。

 立ちはだかるのは世界の強豪達。でも、彼女達もまた同じ遊びを戦う仲間達でもあります。

 今日も魔法少女達の戦いは続いていきます。

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幼女達の遊び けろよん @keroyon

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