空虚に囚われし読書家のこと


 

 見よ 見よ

 書物を入れるはずの

 手提げ袋に本はなし

 どんな美しい装丁も

 思わず手を出す題も

 食指は動かず

 目を滑らせるばかり

 文を書く筆は止まり

 我が心は洞となり

 ただ文字のみが空に踊っている

 こんな悲しみがあるだろうか

 こんな苦しみがあるだろうか

 嘆きは虚しく

 何処にも響かず

 霧のように蔓延る

 

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