冬を食む

 

 雲一つ無い

 青の濃い空

 聳え立つ山々には

 粉砂糖のように雪が降り掛かっている

 木々が葉を落とす音が聞こえる

 日差しは思ったほど寂しくない

 冷たく乾いた空気を

 舌で味わい、吐く

 ああ、この味が私はなんとも好きなのである

 純水を口に含むような

 麦茶の氷を齧るような

 この味が

 また一つ食むたびに

 仙人になったような

 童になったような心地がした

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