第3話 「破壊神は募集をやめた」

「にゃ、今は3話目だ」


ドカボンの第六感が告げる。


その報告いる?

で、ギャンディーから何か受け取ってたけど


ヤスの中で銭神の呼び名は確実にギャンディーへ定着した。


「にゃ、うちの能力覚えてる?」


えーと、他の神様から、力をもらう能力?


「ほとんど正解。

 うちの加護は『さずけ』。これひとつだから」


ほーん


ヤスに理解している様子がない。


「にゃ、お馬鹿なヤスにもわかりやすく説明すると、力を『さずかり』、『さずける』加護なの」


・・・・・・・・・


その時ヤスの脳裏に現れたのは、ゲーム機とテレビを繋ぐケーブル。


むっちゃ大事じゃん

やべえよドカボン


「にゃ、伝わったようで何より」


そして拳をぎゅっと握る。


おお!


すると暖かな光がそこから漏れ出て、ドカボンへと移っていく。


「にゃ、これで銭神の加護を『さずかり』――――」


ヤスへ掌を向ける。


よっしゃこーい!


「破壊神ドカボンの名において、お前に加護を『さずけん』」


うおおおおお!

・・・破壊?


暖かな光がドカボンからヤスへ移る。


「にゃ、これでヤスに加護が付加された。

 本人からもらったわけじゃないから、加護というより才能だけど」


ちょ、ドカボンさん?


「にゃ?」


ヤスの反応に首を傾げる。

もっと変に騒ぐんじゃないかと思っていた。


今あんた、自分のことを破壊神て・・・


「・・・にゃー」


上を向いて少し考え事をする。


「1話目でさ」


はい、1話目ですか


「他の神様から意見もらうって言ったじゃん」


言いましたね


「にゃ、そうやって色々と付け加えていくとね、たいてい世界って壊れちゃうの」


壊れるの?


「にゃ、つまりうちの特技は」


特技は?


「シナリオブレイク!」


・・・・・・・・・


うんうんなるほどとヤスが頷く。


この破壊神め!


「にゃっはっは」


今シナリオブレイクするとどうなんの?


「この夢が終わるよ」


おいおいマジか!? まだ全然遊んでねえぞ!

まだPV0か!?


「ピーヴイオー?」


それ2話でやったわ!

まだ他の神様に見付かってないかって聞いてんだ!


「にゃ、見付かってないね」


なら無しだ

無し無し!

コメントやレビューを反映させないでいいって


「にゃ、それじゃあヤスは無能のままだよ?」


銭神のがもうあんだろ!

あんな感じで少しずつ集めていけばいいよ

シナリオブレイク要素なんて入れんな


「にゃ」


俺とお前でこの夢を楽しもうぜ!

一緒に異世界を冒険しよう、ドカボン!


「・・・ヤスは、うちと一緒に冒険できると思っとったんか?」


ドカボンが目をまん丸にして驚く。


え? リュック用意してたし違うの?


「うちは神ぞ?

 身なりは可愛くしたつもりだけど、恐くないの?」


ああー


背筋を伸ばし、ドカボンのぬいぐるみ姿をじっくり見る。


うん、あんまり恐くないな

まあ可愛いかって言われると、えーと、人による?

ホワイトタイガーの尻尾はいいな!


「・・・・・・」


尻尾を少しぴょこぴょこ動かしてみせる。


「にゃ、そこまで言うなら募集はやめにする。

 ・・・・・・・・・・・・うん、消してきた。

 ただ、1話目には手を入れないで残しといたぞ」


よっしゃ!

僕達の旅はこれからだ!


「にゃ、打ち切りかいな。

 まあ確かに始まってないけど」


そしてドカボンはよいしょと何もないところから再びリュックを取り出す。

それを抱っこするように、前から肩にかけた。


それじゃ『言葉忘れの指輪』を買いにいきますか


「にゃ、ヤスの脳みそでも さすがに忘れてなかったか」


おう

くう~、異世界かー、冒険かー・・・!


「なんか用意するものない?

 ないなら行くよ」


あ、とりあえず何の加護・・・才能?もらったか知りたいんだけど


「にゃ、プレートをゲームのコントローラーだと思って操作してみ」


な、なかなか難しいこと言うな

まあ、お・・・僕ぐらいになれば楽勝・・・らく・・・・・・

おお! 楽勝だぜ!


悪戦苦闘しているとプレートがきらりと光り、ゲームのウィンドウ画面のようなものが目の前に現れる。


えーと、加護、加護。

・・・ん? 巻末時点のヤスについて?


そこをクリックする。


「にゃ、才能が入ってるじゃろ?」


・・・・・・


ヤスは深呼吸して、空気を胸に溜め込む。


チェンジ!!


ブッサイクな顔だ。


この才能チェンジでええええ!!!


そこには『小銭拾いの才』と書かれていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る