脳波探偵ギャラクシーF(ファイナル)

黒田真晃

第1話 再会


す~っ、は~っ・・・

やっぱり都会の空気は普通だな・・・

田舎いなかで仕事をしていたのが気持ちよすぎた。


俺、空海そらみ銀河ぎんがはぶつくさ言いながら、久しぶりにあいつに会うことになる。

あいつと会うのも一年ぶりだなあ。

なんてったって、遠距離恋愛だもんなあ・・・


明日には、仲間たちとも5年ぶりの再会だ。

そして、会うのが億劫おっくうだったも・・・


信号待ちの横断歩道。他の通行者といっしょに青信号をわたろうとした。


その時。


うしろで、聞き覚えのある声がした。


「おーーーい、銀河ぎんがくーーーん、こっちこっちーー!」


うわっとぉ。相変わらず元気だごと。


「うっせーぞあやめ。周りのこともかんがえろよ・・・」


「えー?一年いちねんぶりの再会なんだからさあ、そりゃあハイにもなるよ


銀河くんってば、乙女心がほんっと解ってないなあ」


「連絡はスマホでいつもしてたろ。つーか乙女って・・・」

佐世保させほあやめは、まだ膨れっ面でいる。


「ま、いいや!ちょっとそこらでお話しよ!?ね。」

「おーそうだったな・・・」


俺とあやめは、とりあえずファミレスで明日の打ち合わせをした。

勿論、直接会っていなかった俺らも、向き合ってお互いの近況を話したり

もした。


俺はコーヒーゼリーとストレートティーを注文。

あやめは、ダージリンと季節のパフェ(栗とサツマ芋のミニパフェ)を注文。


あやめは、ティーバッグを上下に揺らしながら、ド直球の質問をした。

「そーいえば銀河くんってさあ、今日会ってわかったんだけど、

 鈍くなったねえ。ほんとにあの能力とか使えないわけ?」


「いてえとこつくなあ・・・しゃあねえだろう」


そう。ここんとこ、俺はご自慢の”脳波のうは”いわゆるテレパシーが使えなく

なっている。

それは、人の脳から出ている電流をキャッチし、人の気配や人の想像を自分の

中で具現化できる能力なのだ。

使えなくたって、仕事に支障はなかったのだが・・・


「銀河くん、最近悩み事とかない?それが原因なのかも・・・」

「別にないよ」


あいつなりに心配してくれているのはわかっている。

だが、いざって時にこの力が使えないと・・・


「ねーねー、私ね、今度接客コンテスト全国大会に出るんだ。3年連続だよ?

いつも優勝のがしてるけど、今度こそはゼッタイ!一等賞とりたいん

だよね~・・・銀河くん、今ここで私を応援してくれないかなあ・・・」


「あ~そうだったな。うん。頑張れ!あやめ。お前には接客業の

資質がある。緊張せずに、いつものあやめでいてくれればいいんだ」


「まじめかよー」

「お前が言うからだろ、お前こそ真剣じゃなかったのかよ・・・」


こいつは、今じゃまつデパートの一流従業員。


一年に一回、従業員の接待能力をきそうコンテストがある。

こいつは、4年連続で出場していたらしい。

なんでも、賞をそのうち3回も獲得している。これは驚きだ。評価にあたいする。

いずれも、副賞だったので、今回ばかりは優勝を狙っているんだとか。


「けどよお、お前そんな大事な時に、俺たちと一緒にいて、いいのか?」


俺としては心配して、あやめに不器用な言葉をかける。

あやめは、間髪入れずに


「いいんだよ。みんなと一緒にいられれば」


そのセリフに、我ながらみっともなくドキ・・・・ッとしてしまった。


「わりい・・・でも、」

「でも?」


「た、大会のほうは頑張れよ?俺らに協力なんて、そんなに頑張らなくてもいいから!大会の用事があったら、すぐ俺らの仕事ぬけてもいいからな?」


「え・・・銀河くんどうしちゃったの?」


俺は、あやめの手をとる。


「――――!!?」


「絶対、優勝しろよ・・・・・・」


俺とあやめは、見つめ合った。ふたりとも、顔がだった。かくゆう、俺も

自分で赤くなっているのがわかる。


「やだ・・・恥ずかしいよ、でも・・・ありがとう」


あやめは、いつものツンデレを隠しきれない様子で言った。


「ふ・・・・」

「うふ・・・・・・・・・」


「「あははははははははははははははは」」


周りに人が居るにもかかわらず、俺たちは盛大せいだいに笑う。

異性とこうやって、バカし合ったり、怒り合ったり、笑い合う、なんて

のは・・・・

なんて楽しいんだろう。


なんてったって、俺らは遠距離で・・・・


―――――――――――――――


ファミレスを出た俺らは、会計を済ませ、店を出る。

あやめがご馳走ちそうしてくれた。それは、クレジットカードでの支払いだった。


「ゴチになったな」「ううん、全然」


今回のプロジェクトは、元I・C・Cのメンバーで集まり、元部長の

峰岸みねぎしさんが、サークルでつちかった技能を生かし、新しく会社を立ち上げたので、その

仕事を手伝うものだった。

もちろん、報酬も出るので、俺たちも喜んで参加する。


しかし、俺は妙な胸騒ぎがするのだ・・・・


――――今回は、殺人事件なんて、起きないでくれよ・・・


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