A.U

イハー

プロローグ

「間違いないのか?」

 白衣を来た男性は、搾り出すような声でそう呟いた。

「えぇ、残念ですが、私の計算に100%間違いはありません。私ってば優秀ですから」

 そう答えたのはこれまた白衣のメガネをかけた女性、年齢不詳ではあるが、妖艶な雰囲気を漂わせている。

「私の計算通り、数日後、太平洋に超巨大な隕石が墜落します」



 日本のとある研究施設、天文学を主な研究対象としてきた施設であり、通常なら遥か遠い星々に思いを馳せて、いつか行けたらいいなぁ、地球外生命体に会えたらいいなぁ、くらいの感じでのんびり研究をしているのだが・・・その日は朝からずっと緊迫した雰囲気が施設を覆っていた。

 その施設の一角、パソコンのディスプレイがいくつも並んでいる部屋で白衣の男性と女性は一枚のディスプレイに映し出された計算結果に、驚愕の瞳を向けていた。


「んな・・・ベタなことがありえるのか・・・、ラノベじゃないんだぞ・・・」

 そう言いながら肩を落とす男性に対し、女性は「事実は小説より奇なり、昔からよく言うじゃありませんか」そう言いながらキーボードを叩き続けた。

「もうひとつの計算結果も出ましたよ」

 冷静に呟く女性、しかし男性の方は気が気ではない。「見せてみろ」そういうと恐る恐る、ディスプレイを覗き込んだ。

 ディスプレイには0%と表示されていた。

「計算の結果、隕石墜落後、地球上に人間が生きられる環境が維持される可能性はです」


 男性は、すべての力が抜けたかのように、その場に崩れ落ちた。

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