冒険に必要な物は? 紙とペンとそれから―― 私と、私達の放課後異世界ファンタジー

夜鷹@若葉

プロローグ

 私は、本が好きだ。一つ、一つ、小さな、そして壮大な物語が詰まっている。私はそれにずっと魅入られてきた。

 日々、本屋を練り歩き、ネットの海に浸る。活字を求め、世界を求める。

 泣いて、笑って、ほほ笑んで。多くの世界に魅入られる。

 だからこそ、望むのだ。誰も見た事のない、誰も知らない、小さくて、壮大な――私だけ物語。私が主人公の物語。

 けれど、そんなものは何処にもない。だって、本は、小説は、皆誰かの手によって生み出され、世に広まる。そこにいるのは、私ではない誰かだ。

 私自身が書き手でない限り――私だけの物語は存在しない。

 たった一つ、私に本を書く力が有れば。そう望む。けれど、私にはそれは無い。

 だから私は求める。世界を、冒険を、私だけの冒険を。


「さあ、はじめよう。私達だけの冒険を」


これの話は、私が、私だけの――私達だけの冒険をする物語だ。

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